第8話 なるほど、多分理解した。
現在、裏世界上空。
そこでは天使と堕天使が暴れまわっていた。
戦況は堕天使が優勢。天使は防戦一方であった。
「おいおい!そんな感じじゃあ、俺に勝つことはおろか、帰ることだってままならねぇぞ!どうだ?ここで死ぬか⁈」
比較的接近戦、その最中に彼は私に向けてそんなことを言った。
そう言った後、彼は私を押す。
それによって、私は地面に叩きつけられた。
土煙が舞う。
それによって、私の視界は悪くなってしまった。
その隙をついて、堕天使は超速で私に接近していった。
その一部始終を俺は……
笹野は見ていたのだ。
「な……なんだこれは」
この数日、信じられないようなことが起きて、信じられないようなことを聞かされて、
そして、信じられないような迫力のバトルをこの目で見ている。
男心をくすぐる、モーレツな空中戦を……
そして、流石にこの世界、この戦いを見てしまえば、理解さずを得なかった。
裏世界の「真っ赤な」空を見上げながら……。
俺を悟った。
この状況になっているのを見る限り、裏世界とは表世界に比べ、かなり危険なのだろう。
ここには人間はいない。前までは表世界の調整を行うための空間であったと言っていた。過去の時制だ。
それを言い換えれば、現在は違う。
この世界を見るに。
俺はここが天使と悪魔の「主戦場」であることを考えることを容易であった。
でも、流石になんで俺がこんなことに巻き込まれにゃあかんのだということの理解は勿論できなかった。
ひとまず……あいつを助けたほうがいいのか?
そんなことを思っていると、男が地面に叩きつけられた白羽に超速衝突していった。
ドーン……
叫び声も何にもなしに、ただ土煙が舞う。
どうなったの……?
俺はとりあえず、崩れた校舎を駆け下って行って、その現場に向かうことにした。もし攻撃を食らったとても、俺には彼女が言っていた「究極身体再生能力」というやつがあるらしいから、まぁ大丈夫だろう。痛覚は普通にあるから、致命傷を負った際は死ぬレベルの痛覚を味わうこととなるのだが。
その痛覚の後に気を失うことになるから、できれば感じたくない感覚なのだが。
お前たち、味わったことあるか……?死ぬレベルの痛覚を……。
脳が焼かれる感覚を。
皮膚が溶ける熱を。
「痛い」を通り越して、何か不思議な感覚に陥るぞ……あれは……。
現在、その現場では未だに土煙がもくもくと舞っている。
おそらく彼女はこの中のどこかにいるはずだ。
とりあえず、あいつのさっきからの感じを見ると、「勝」というよりも「逃」を狙っているように見える。
俺もさっさと表に戻って授業を受けたいので、少し助太刀するか……。
天使とのシニガケ契約 端谷 えむてー @shyunnou-hashitani
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