第4話 意地で契れ。「シニガケ契約」
───さぁ、このままだと貴方は本当に死んでしまいますよ?
この声は……。
───今、貴方がここで生きながらえるためにはここで「シニガケ契約」を契るしかありません。
……なんでもいい。
とりあえず、うるさいからその声をボリュームを下げてほしい。
俺はどうせ……ここで死ぬ運命だったのだ。
少し理不尽だと思わなくはないが。よくよく考えれば、死なんかこんなにも身近で唐突なものだった。
───本当に納得しているのですか?
…………。
───ここで死んでいいと貴方は思っているのですか?
そんな……わけがないじゃないか。
正直、実感なんてものはない。
俺がここであっけなく死んでしまうなんて。どう信じればいいんだ。
この先、生きて、何かなるといえば、それはよくわからないのだが。
しかし、こんな理不尽に何が起こったか分からないまま死ぬのはやっぱり嫌だ。
死ぬくらいなら、契ってもいいのだろうか。
彼女たちのいう怪しい契約。
「シニガケ契約」を───。
いいだろ?
いいんじゃない?
いいかもしれない。
死の間際の心情世界。
俺はそんな葛藤をしていた。
こんなことを考えている間も現実世界の俺の体からは刃によって開けられは体の大穴から多量の血液が出ている。
どんどん体力が減っているのだ。
もう、俺の体の機能もそろそろ停止してしまうであろう。
───決めた‼
俺はいよいよ決断した。
やはり、俺の人生も少しばかり延長を求めたい!
俺は細胞の隅から隅までをも使って、「シニガケ契約」の成立を望んだ。
これは文字通り、人生最期の賭けのつもりだ。
すると、俺の心臓が大きく鼓動した。
───ドクン‼
───ドクン‼
───ドクン‼
「……っ!」
激しい……!
苦しい……!
俺はその激しい苦痛に思わず歯を食いしばり、意地で我慢をした。
しかし、耐えるのも困難なほど、激しい苦痛である。
なんだ……やはり、「シニガケ契約」というやつは……
───ただの罠であったのか……?
俺はその刹那、そこに白羽がいることを細目で確認した後……。
その苦痛に耐えきることができず、その場で意識をなくした。
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