第5話 現状

ここに集まっている者以外も賛同してくれている者はいる。

ここで訴えてより支持を得る。


緊急放送がなったのは、渡りに船だ。

どこかのタイミングで訴える事が必要だった。




失われた三十年と言われる期間がある。


バブル崩壊後の期間についてだ。

人々はあの三十年を取り戻せと声を上げ続け、努力と精進をしながらも進んできた。

あの三十年で景気は悪いと言われ、他の国は脱け出したのに日本だけが抜け出せなかった。

あの時の赤ん坊が今やこの国を支える中核となったように

あの三十年間時間から技術や意識その全てが停滞し三十年前と同じではなく進んだのであったから今がある。そう言えなくもない。



あの三十年を取り返せ。

その標語が幾度も繰り返されて目標とされている。


問題の定義が間違っている。



失われた三十年とは語弊があり、実際には企業に労働者の努力や生活余裕を奪われた三十年。

奪われた三十年である。


確かにバブル崩壊によって多くのずさんな経営をしていた企業は倒産に陥り、堅実な経営をしていた会社も巻き添えをくい、潰れた。


そのため、不景気になったまでは通常の状態である。


しかし、その後に小さな悪意が混ざった。


このまま安く使える。


企業が予測出来ない未来に怯え、利益のほぼ全てを蓄えだしたのである。


その金額はとどまる事を知らずに増えた。


社員も路頭に迷うことを恐れ怯え、恐怖に支配され、奴隷のように安く長時間の過酷労働を受け入れるしかなかった。


富の一極集中であり、利益を分配するのは最低限で良い。

 

労働者の環境も国際標準だなんだと

安く労働させるため、派遣だ契約だと

経営者にとって、資本家にとってこれほど良い奴隷はいない。

絶望を少しでも無くす。

一番簡単な事はその場から逃げ出すことだ。

より良い環境を求め、人は移ろう。




下請け会社には

更に地獄が待っていた。

会社を潰さない為、従業員を守る為、と安く身売りする事になった。


従業員の為といいつつ価格を抑えた不当に安い物として買いたたかれる商品を造らざるをえず、常に綱渡りを求められ、


大企業の顔色を常にうかがいながら、従業員の心と体をすり減らし、ボロボロにされているのが今である。



そして、相手に対しては経験が無いだなんだと何癖をつけ、面接で強気になり、使えるだけ使って捨てている。


消耗品としての人の完成である。




この流れも断ち切らなければいけない。


それ以上に、そしりを受けようとも。



 

ドアを開け、食堂に入る。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

そうだ、一揆しよう 鳥頭三忘 @toriatamasanbow

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ