身傷的絆

そういえば、私自身は感じたことがなかったが、どうやら私の家庭には「DV(Domestic Violence)(=家庭内暴力)」が蔓延っていたらしい。

私は生まれてからずっとこの家で育ってきているから、粗相をすれば殴られ蹴られ物が飛んでき、または倉庫に閉じ込められたり締め出されたりが当たり前の家庭であることには何の疑問も持っていないが、どうやら世間一般で見れば異常な家庭らしい。


私としては、このような家庭で育ったが故にマナーや常識は一通り叩き込まれたし、人前に出て恥ずかしくない人間に育っているから、感謝しているのだが、そう言うと周りの人間がまるで人を見る目では無い目で私を見るので、どうやら私もおかしいらしい。まあ、確かに料理や洗濯、掃除などの家事が少しずつ私に回って来るようになり、最終的には殆ど私がしている状態には面倒臭さを感じていたが、それだけで、それ以外には一切の疑問を持たず育ってしまった。


こんな家庭で育ち、こんな親の血を引いてる私がまともな子供を育てられる自信はないから、やはり子供は作るべきではないのであろうが、そうなるともはや種としての存在意義を消失した気もせんでもないのである。

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