極暑極寒

夏場に暖房を付けて寝たことがある。

ここ数年の夏場は暑く、夜でも30℃近くになる日がチラホラと見られたから、これは試してみる他ないだろうと暖房を最高温度で付けて寝てみれば、暑くて寝入れたものでは無かった。汗がダラダラ出るが、一向に寝られる気配がないので、結局パッパと冷房を付けて寝てしまった。やはり死ぬには堪え性も肝心なのだろうと思うが、そこまでして死にたいかと言われればそれも否であるから、悩ましい限りである。


また、冬場に濡れたまま全裸で外にいたこともある。外と言ってもベランダだから、ギリギリ公然わいせつ罪にはなっていないと思う。なっていたら仮に死ねたとしても恥ずかしくてあっちで親族に顔向けできない。

水を浴びて全裸でベランダに出ると、風が吹く度に全身がビリビリと傷んだ。本を読むとどうやら寒くなると人間は眠くなるらしいから、これは夏場のように寝られないなんてことは無いだろうと高を括って床に座り込んだが、全くと言っていいほど眠くならない。結局1時間程粘った上で辛さが勝ったので大人しく部屋に入って毛布を被って寝た。翌日起きると何故か体の調子が良かったから、寒中水泳や寒風摩擦は意味があるのだなぁ、としみじみ思った。


暑いも寒いも嫌い、更には堪え性も無い私にとってはこの死に方はなかなかハードルが高いようである。こんなもので耐えられないのだから、溺死や焼死なんて恐ろしくて出来たものでは無い。やはり一思いにサックリと死にたいから、誰か後ろから刺してくれないだろうかと日々空虚な願いを呟いている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る