高い所
家の2階から飛び降りたことがある。
家は二階建ての一軒家で、私の部屋の窓は家の正面を向いて付いている。そうは言っても二階であるから、頭からいかなければ死ねぬだろうと頭から落ちたはずなのだが、何故か着地する時には足から転げ落ち、自衛隊のする五点着地と偶々同じ形式となって擦り傷だけで済んだ。いや、数週間全身に痛みが残った記憶もあるから、病院に行っていないだけで全身打撲と同じだったのかもしれない。いずれにせよ、体が無駄に丈夫であるのも悩ましいものだと思った。
先日、従姉に先を越された。マンションの5階から飛んだそうで、脚は砕けていた。だが、顔は擦過傷以外はほとんど無傷であったので、最後に顔を見に行った時には、綺麗に化粧もして、まるで寝ているようであった。「なんで飛んだのか」と宙に向かって尋ねると「お前は来るな」と叱りを受けたので「今は約束事があるから逝けない」と返すと満足そうに笑っているような気がした。実際どうであったのかは逝ってみなければ分からない。早く逝きたいが、まだまだ許されそうにない。
高い所から飛ぶとその後の処理が大変だと親が嘆いていた。飛び散った肉やら血やらの掃除の費用を払わねばならぬらしい。なるほど、確かに面倒臭いと思ったが、死んでしまえば私には関係の無いことなのではなかろうかとも思った。
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