第4話 音楽の話
ネットも配信もありません。
普段、音楽を楽しむには、「カセットテープ」。
今で言うなら、メモリーカードのように、
何も情報が入っていない、情報の入れ物としての商品だ。
これに、自分の好きな音楽を「録音」して、
それを「再生」して楽しむ。
大ヒット商品「ウォークマン」もありました。
イヤホンで一人だけで音楽を聴くスタイルは、
ここから始まったのかな。
猿がしんみりと音楽に浸っているテレビコマーシャル、
好きでした。
カセットテープといえば、「マイ・テープ」。
レコードやCDを「レンタルショップ」で借りてきて、
そのまま「ダビング」つまりコピーするのではなく、
求める曲を選別して、
ランダム再生ができないから、曲順も吟味して、
自分だけのオリジナル選曲のテープを作ります。
例えば、一曲目にノリの良い曲で、テンション上げておいて、
キャッチーなリフレインの曲、
ビートの効いたロック、
ボーカルが歌い上げる曲、
最後は、スローなしっとり泣かせる曲、とか。
でも、カセットテープって、ループしているから、
結局、途中の曲から聴き始めて、
途中の曲で終わったりしたものだが。
「オート・リバース」とか言っても、
知らない人は、イメージできませんよね。
もしくは、疾走感のある元気な曲ばかり集めて、
夏の海山へ出かける時用のテープ。とか。
しっとりムーディーなバラードばかり集めた、
夜のドライブ用のテープ。とか。
シチュエーションに合わせた選曲集だ。
当時の音楽ジャンルの「マイ・ブーム」は、
まずはやっぱり「ユーロ・ビート」
ストック・エイトケン・ウォーターマンの3人は天才だと信じていた。
「バナナラマ」「デッド・オア・アライブ」
「メル・アンド・キム」「カイリー・ミノーグ」あたりの制作チーム。
僕が行ってた頃の「ディスコ」は、
「ワンレン・ボディコン」のお姉様方が扇子を振り始める、
それよりもほんの少し前の時代です。
加えて、日本のメジャーシーンでは聴くことがなかった、
「イタロホット?」だったか、イタリアのレーベル。
後にDA PUMPがカバーした「U.S.A」は、
ここだったような。
チープな電子音の楽曲が多かったが、
メロディがいい。
なんか、日本の歌謡曲に通じる泣かせるメロディ。
これら、マイナーな楽曲ネタ、ネットがない時代にいかに情報を得たか!?
地元の駅前に小さな「レンタルレコード店」があったのだが、
そこの品揃えのおかげです。
なぜか、ダンス系輸入版が大充実。
個人商店だったようで、オーナーさんの趣味なのであろう。
「12インチシングル」、多分、ディスコとかで使うこと前提のパッケージ。
7インチの「ドーナツ盤」ではなく、
「LPレコード」と同じ大きさで、
同じ曲が、ラジオ向け、とか、ハウス向け、とか、
リズムトラックだけ、とか、バージョン違いで複数収められている。
日本では聞いたことのないアーティストが大充実。
視聴などできませんから、「ジャケ買い」、ならぬジャケ借りで、
30センチ四方の大きなジャケットを眺めて、
インスピレーションで借りてみる。
ハズレもあれば、大当たりもあるんです。
それを集めて、一本のテープにまとめる。
当時のマイブーム、
「ユーロ・ビート」と、もう一つの柱、
「ワールド・ミュージック」も外せません。
「ジプシーキングス」、「ザ・ポーグス」、
ラテンにハマった「デイビッド・バーン」、
沖縄も入れるなら「上々颱風」、
この辺り、全部ライブで見たな。
「ザ・ポーグス」は、アイルランドのパンクバンド。
音だけ聞くと、オクラホマミキサーか西部劇か。
でも、演奏とボーカルは強烈で激速のパンク。
割と小さめの箱ではあったが、
ライブ中は通勤電車以上の密集具合で、おしくらまんじゅう状態。
客もパンキッシュで、演奏中にステージによじ登った奴は、
屈強な黒人ボディガードに蹴落とされていた。
そして、最高潮のころ、どこからともなく、
ミネラルウォーターのペットボトルが頭ごなしに回ってきて、
見知らぬ者同士で回し飲み。
コロナ以前のおおらかな時代でした。
そして少し後になって、ランバダ、なんてのもありました。
当時は、J-POPという言い方はなく、
「洋楽」に対して、「邦楽」、と呼ばれ、
何となく、おしゃれな人は洋楽を聴く、
という風潮がありました。
でも、そろそろ出現していたカラオケボックス、
「レーザーカラオケ」でしたが、
その練習用に、邦楽のテープも作りましたね。
ところで、「レーザーカラオケ」は、
同じ曲でも、映像が2バージョンある曲がありました。
一般向けとエッチなやつで、
女の子が一緒の時に、選択間違えると、大事故になりますから、
タイムリープした際には、注意が必要です。
エッチなやつは、昭和の標準モラルに基づいていますから、
ほんと、やばいです。
「マイ・テープ」は、仲間内で好評で、
貸し出し希望者多くあり、
そのうち行方不明になるものもありましたが、
布教活動が成功したということで、良しとします。
奈良までの片道二時間ほどのドライブ、
BGMは「マイ・テープ」で抜かりありません。
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