第12話
そしてこの図書室の窓からはグラウンドが一望できる。
わたしはここから見る陸上部の練習風景を委員の仕事をしながら見るのが密かな楽しみだった。
まあ、今年は陸上部ではなくあの加賀くんが所属するバスケ部が練習するんだけど。告白する前だったら今の気持ちとは絶対、正反対だったと思う、ウキウキして夏休みにここに来るのがより楽しみで仕方なかったと思う。これが告白した後だから、複雑。
そう思いつつ、カウンター横に置かれているローラー式の返却棚に取り掛かる。戻す前に期限までにちゃんと返してあるのかリストを見ながら確認するけど、これがまた大変、リストにチェックを付けて、頭を上げたとき、心臓が跳ねた。
バスケ専門誌
“バスケ”その単語だけで動きが止まる。期限内に返却してくれたことはもちろん有り難いと感じるし、そもそもこの雑誌にはなんの罪もない、ただ、今日はちょっと目にしたくなかった。
加賀くんに片想いしてるときも、告白しようとしたときも、男の人が好きだと分かったときも、この本棚に並んであったバスケ専門誌を眺めてた。そして会いたくない今も、皮肉なことにやっぱり眺めてる。
やっぱり加賀くんのことがどうしても好き。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます