第12話

そしてこの図書室の窓からはグラウンドが一望できる。



わたしはここから見る陸上部の練習風景を委員の仕事をしながら見るのが密かな楽しみだった。



まあ、今年は陸上部ではなくあの加賀くんが所属するバスケ部が練習するんだけど。告白する前だったら今の気持ちとは絶対、正反対だったと思う、ウキウキして夏休みにここに来るのがより楽しみで仕方なかったと思う。これが告白した後だから、複雑。



そう思いつつ、カウンター横に置かれているローラー式の返却棚に取り掛かる。戻す前に期限までにちゃんと返してあるのかリストを見ながら確認するけど、これがまた大変、リストにチェックを付けて、頭を上げたとき、心臓が跳ねた。



バスケ専門誌



“バスケ”その単語だけで動きが止まる。期限内に返却してくれたことはもちろん有り難いと感じるし、そもそもこの雑誌にはなんの罪もない、ただ、今日はちょっと目にしたくなかった。



加賀くんに片想いしてるときも、告白しようとしたときも、男の人が好きだと分かったときも、この本棚に並んであったバスケ専門誌を眺めてた。そして会いたくない今も、皮肉なことにやっぱり眺めてる。




やっぱり加賀くんのことがどうしても好き。

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