第104話
「変装していない時に話しかけられても困るので、情報交換はマメにやりましょう」
「そうだな。……この時間なら問題ないか。
この時間にここで。それでいいか?」
「はい」
「万が一見つかった時は俺の研究を手伝っていると言え。
研究内容は、人外の遺伝子を組み込んだ際の薬の副作用をどうやって軽減するか、だ」
「了解致しました」
「研究してないのがバレると困るから、それは俺が適当に作っておく」
「いえ、それは俺がやりましょう」
「そうか?じゃあもうすでに終わった資料が俺の机にファイリングしてあるから、それを参考に作ってくれ」
「お、終わっているんですか…」
そりゃな、と笑った。
38度が2週間続く副作用なんて、嫌に決まってるだろ。
熱が引いてからすぐに研究し直した。
…人外の遺伝子を使った実験は俺と楽生以外それ以降もやっていないから、まだデータ化していなかった。
「これで明日、行ってみればいいんだな?」
「はい。……あの、大丈夫ですか?」
「お前の家柄もだいたい知ってるし、大丈夫だろ。
お前は大丈夫か?」
「何年咲夜さんと一緒に働いてると思っているんですか?」
「あははっ!そうだな。…楽生より頼もしいわ」
「えぇ⁉︎」
ありがとう、と前原の肩をポンと叩いた。
いえいえ、滅相もないです、と前原も笑った。
明日、か。
少し怖いが、頑張ろう。
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