飛べなかったピーターパン
律王
『飛べなかったピーターパン』
『飛べなかったピーターパン』
果てない青には春が隠れている。だから僕は空に憧れた。
数日続いた季節外れの大寒波もようやく終わりを見せ、僅かながらも温もりが足元を包む。空は晴れ渡り、その青さは深みを増すのだが、延々と続くその青さにどこか不安を駆り立てられ、吸い込まれるような、同時に突き放されるような錯覚に陥る。
度々吹き付ける風に冬の気配を感じ取り、僕は身震いする。
参考書を開く手は躊躇いを孕み、ペンを握る手には戸惑いが渦巻く。
周りが次々と進む中、僕は飛び立てなかった新しい世界に、大人となった僕は届くのだろうか。
果てない青には春が隠れている。ただ、延々と続く青の果てに、僕は辿りつけるのであろうか。
飛べなかったピーターパン 律王 @MD_aniki
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