第6話 三人の美女達
「では、次の女性の方、お願いします」
ラウナの隣に座っているセクシー姉さんに、俺は合図を送る。セクシー姉さんはコクリと頷くと、男達を誘惑するような目付きをして、話を始める。
「私の名前はエミノールと言います。魔法使いをやっています。レベルは、まだまだ初級なので、誰かお力を貸して頂けませんか? 強い殿方を求めています。よろしくお願いします」
エミノールは、ボディラインがハッキリと分かるようなピッチリとしたシャツを着て、ものすごく短いミニスカートを履いている。
豊満な胸と丸みを帯びたお尻をかなり強調している服装だ。
エロい、エロ過ぎるよ。
興奮状態の中、ここで俺の"リトルサーク"が発動し、エミノールのルックス分析を始める。彼女の評価は、かなりの美女のAランクに決まる。
エミノールはニコリと微笑み、軽く頭を下げる。その瞬間、豊満な胸の谷間がチラリと、俺の目に再び飛び込んで来る。
いや、俺だけじゃない。他の男達の視線も、彼女の胸の谷間に釘付けになっている。みな、エロい事を想像している顔だ。下心丸出しで生唾を飲んでいる。
このまま胸を見ていても良いのか? 女の子達に最低、嫌いとは思われないのか? でも、見たい。見たいが、女の子に嫌われるのはイヤだ。どうする?
俺は葛藤しながら、それでも胸の谷間をチラチラと見てしまう。
いかん、ダメだ。俺の理性よ、目を覚ませ。
俺は我に返り、他の男達の動きを確認する。どうやら、他の男達もマズイと思ったようだ。俺と同様に我に返り、互いの今後の動向を伺っている。
この女のあからさまな誘惑に食い付くのか? 他の男達はどう動くのか? 攻めるのか? 退くのか?
これは、明らかな罠だ。ハニートラップだ。何か危険な香りがする。食い付けば、タダでは済まない。
他の男達もそんな予感を感じているようで、躊躇しているみたいだ。
と、同時に、俺は他の女の子達の表情を見てしまう。この子達は、どんな風にエミノールの自己紹介を受け止めたのか気になったからだ。
三人の女の子達は、男どもを冷たい目で見ている。イヤらしい、最低よと聞こえて来そうな、そんな顔をしている。
そして、このお色気姉さんに対しては、色仕掛けとは女として節操がないわよという感じで、不快感をあらわにしている。
なるほど、女性側でも戦いは始まっているみたいだ。女性側も良い男と付き合う為に駆け引きするのは当然だなと、俺は納得をし、司会を進行する。
「エミノールさん、ありがとうございました。では、次の方、よろしくお願いします」
俺は正面に座っている美女剣士に目をやる。美女剣士は緊張からか、表情を硬くしている。そして頷き、意を決したように言葉を発する。
「私はアイシアと言います。職業は剣士です。レベルは中級くらいです。よろしくお願いします」
美女剣士は淡々と素っ気ない挨拶を済ませる。
そういう合コンにあまり慣れていない感がスゴく良い――――。大好きだぁ。
俺はそんな事を思いながら、"リトルサーク"でアイシアの評価を行う。彼女も絶世の美女のAランクだ。
俺は小さくガッツポーズをし、また司会を再開する。
「アイシアさん、ありがとうございました。では、女性陣、最後の方、よろしくお願いします」
クルスの正面に座る初々しい感じの女の子に、俺は最後の自己紹介を促す。その子は両手で顔を抑え、照れたような感じでモジモジし始める。
「私の名前はレミカって言います。僧侶をやってます。こういう場はあまり慣れていないので、スッゴク緊張しています。皆さん、お手柔らかにお願いします。よろしくニャン」
その女の子は、まるで猫のようなポーズを取り、可愛さを男達にアピールする。
男達は彼女の仕草にドキッとし、呆然とする。一方、他の女性陣は、そのブリっ子な計算された挨拶に怒りを感じ、イライラしている。
おぉ、スゲェ。
一瞬にして男達を虜にし、一瞬にして女達を敵に回したぞ。
俺はフムフムと感心しながら、レミカのルックスの評価を下す。彼女は美女評価のBランクだ。
今回の合コン、四人中、三人が美女だ。こんなに当たりの合コンは、俺もほとんど経験をした事がない。
訪れたチャンスに、ドキドキと胸の高鳴りを感じる。そして、失敗は許されないと俺は気を引き締める。
そんな事を考え、頭の中を整理していると、隣の席から凄まじい熱いオーラが俺の方に漂って来る。何事かと、俺は焦って直ぐ様そちらの方を確かめる。熱いオーラは俺の右隣から発せられている。
見てみると、愛弟子クルスがプルプルと震えている。目の玉は炎の如くメラメラと燃え、一点を見つめている。全身は白い霧のような湯気で覆われ、オーラのような気が吹き出している。
こ、これは?
俺は思わず、クルスを二度見してしまう。
合コン本気モードだ。
合コンで、男が本気で女性を好きになって、本気でその女性を落としに掛かる時に現れる状態だ。
俺はそっとクルスの視線の先を確認する。クルスの視線の先にあった女の子、それは初々しい女の子レミカの姿であった。
クルスはオタク気質な所がある。そのクルスからすれば、男慣れしていない初々しいドジっ子系の女子は、まさに好みのタイプ。そう、どストライクなのだ。
その恋が成就するようにサポートしてやるぜ。
俺はクルスをチラリと見て、相棒を応援する事を心に決めた。
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