12章 フルムーンライト祭

第12話

夏が終わり、秋の季節がやってきた。

「もうすっかり秋だね〜!リア!」

今はお昼休憩中。お昼ご飯を食べた後のまったりタイム。

「ねぇ〜秋は月が綺麗だよね!」

「でも寒くなってきたよね〜…。」

「チェルは寒いの苦手だからな。」

「うん。寒いのだけは苦手〜…。」

「あっ!もうすぐフルムーンライト祭があるよね!」

「月が綺麗だよね〜!フルムーンライト祭はお団子食べられるしね!」

「言うと思った。やっぱりそれか…。」

フルムーンライト祭は日本で言うとお月見みたいな感じ。この日は月が近づいてくるからいつもより月が大きく見えるの!その月を見ながら餅をついて、お団子にして食べるんだ!餅つきの道具を持ってない人は普通にお店で買って食べてるけど、うちは毎年ライたちとついてるんだ!きな粉にあんこにみたらし団子どれも美味しいよね!

「もう!チェル姉ちゃんはそればっかり!フルムーンライト祭にはとっても素敵でロマンチックなお話があるんだから!」

そう。フルムーンライト祭には元になるお話があるんだ。


昔々。あるところにリュナというとても美しい娘がおりました。リュナが通るだけでその場にいた人の視線を奪い虜にしていました。しかしリュナはそれが嬉しくありませんでした。リュナはみんなが見ているのは私の容姿だけで「私」を見てくれてはいないと知っていたからです。だからリュナは「美しい」という言葉が大嫌いでした。だからリュナは自分を美しいと言う周りの人達には見向きもしませんでした。

それに、自分を美しいと自慢する両親でさえも距離を置いていました。

しかし、そんなリュナにも一緒にいる人はいました。暗くて地味で、いつも周りの子にいじめられているサンという男です。サンは自分のことを美しいとは言いません。何故ならサンは目が見えないからです。全く見えないわけではありませんが、私を容姿だけで判断せずに「私」を見てくれるサンの存在はリュナにとってとても安らぐ時間で、心の支えでした。でもサンと会えるのはみんなが寝静まってから起きるまでの短い時間のみでした。リュナは自分と一緒にいるところを他の人に見られるとサンに危害が及ぶと分かっていたからです。だからリュナはいつも真夜中にこっそり会いに行っては、朝日が登る前に帰っていました。

しかしそれはいつまでも続きませんでした。リュナの行動を変に思った両親がサンと会っていることを知ってしまったのです。その話はあっという間に広がり、リュナの否定もそそのかされている。と誰も信じることはなく、サンは大怪我を負わされました。

リュナはたくさん泣きました。誰も「私」を信じてくれない、肯定もしてもらえないと再確認したからです。ですが、リュナにとって一番悲しかったのは自分のせいでサンに大怪我をさせた事でした。自分はサンに沢山もらったのにサンに何も返せ無いどころか、守ることもできなかった自分がとても嫌になりました。

それからリュナは自分の部屋から出なくなりました。もう誰とも会いたくなかったからです。サンにもまた同じ目にあって欲しくなかったので、サンと会っていた場所にも行かなくなりました。

それからしばらく経った頃の満月の日、リュナはふと外に出てサンと会っていた場所に向かいました。何故だかとても行きたくなったのです。

その場所にはいくつもの手紙と花が置いてありました。宛先はサンからリュナへでした。手紙の内容はその日あったことや、嬉しかったこと悲しかったことが書いてありました。それはいつもサンとここで話していた内容でした。置かれていた手紙には決まって、自分が怪我を負ったのはリュナのせいじゃ無い。自分を責めないで。また話したいと書かれてありました。手紙にはどれも花が一輪添えてあり、枯れているものもありました。それはサンはリュナが来なくなった日から毎日手紙と花を持ってこの場所で待っていたからなのです。字は読みづらく、花も野原で咲いていたものだったけど、リュナにとっては今までで一番嬉しいプレゼントでした。

リュナは手紙と花を抱きしめながら泣いていると、声をかけられました。顔を上げると包帯でぐるぐる巻きになっているサンでした。リュナはその姿を見て何度も何度も謝りました。サンは謝罪をやめさせると、また会えて嬉しいと今までで一番の笑顔でいいました。大嫌いな月に照らされて太陽のような暖かい笑顔で笑うサンはとても美しいと思いました。美しさとは、「私」のような容姿だけの美しさだけじゃ無いことを知りました。そして願いました。私の何もかもを捧げるからサンを治して欲しいと。すると月の神がその願いを聞き入れてくれました。

月の光に照らされたサンは傷がなくなり、目も元どおりになりました。その代わりにリュナからは美しさを奪いました。誰もが振り返る美しい娘ではなく、平凡な娘になってもサンは私を美しいと言ってくれました。その日からは美しいとは言われなくなり、酷い扱いを受けることもありましたがリュナは幸せでした。

そして願いを叶えてくれた月の神様に毎年満月の日に、サンと二人で出会った場所に行き、感謝の手紙と一輪の花と手作りのお団子を供えるようになりました。


そしてこの日が今のフルムーンライト祭なんだ!この物語のタイトルは「フルムーンウィッシュ」。小さい子からおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広く昔から愛されているお話なんだ!私もこのお話は大好き!この物語から、フルムーンライト祭には、普段言えていない感謝の言葉や大好きって気持ちを手紙に書いて、花を一輪添えて相手に送るって風習がある。あとはお団子を月の神様にお供えするんだ。今年も病気に掛からなかったお礼とか、病気を治して下さいって言う願いを込めて。月の神様に向けて手紙を送る人もいるんだ。

「いいよね〜!「フルムーンウィッシュ」…。私もあんな平凡だけど信じられる相手を見つけて幸せな生活を送りたい…!」

「うん…!それ分かるよチェル姉ちゃん!それにサンがカッコ良過ぎて…!私サン見たいな人と巡り会いたい!」

「カッコいいよね!サン!」

「チェル!始めるわよ!」

「リア〜!帰るわよ!ライも行ってらっしゃい!」

「「「はーい!」」」

(…でも私はライがいいな。)

私はライを見てそう思った。


「さぁ!花屋の売り時!…まぁ一輪だけだからいつもより少し売り上げが多くなるだけかな〜?」

「そうね〜。まぁいつもよりはお客さんいっぱい来るはずだから気合入れて頑張りましょ!」

「「「おー!」」」

それからはいろんな人が来た。

奥さんに渡すって人や友達と仲直りするために渡すって人、病気を治してもらうために月の神様に渡すって人もいた。

「みんなそれぞれの思いを抱えて花を買ってくれたね。その思いが届くように、私たちの花が手助けしてくれたらいいね!」

「…そうね。でも私たちが愛情込めてその人に合う子を渡したからきっとその人の力になってくれるわ!」

「ふふっそうだね!…お父さんそろそろ準備始めた方がいいんじゃない?」

「…ん?もうそんな時間か。…二人だけで行けるか?」

「大丈夫だよ!もうすぐ閉店時間だし!」

「大丈夫じゃなさそうだったら呼ぶから!先に準備はじめてて!」

「分かった!じゃあ頼むな!」

「「まかせて!」」

「じゃあお母さん!もうひと頑張りだよ!」

「ええ!気合入れ直して売るわよ!」

私とお母さんは次々に売り捌いた。


「ふー!結構売れたわね!」

「うん!売り上げ上々だよ!…お父さんは?準備出来た?」

「ああ!出来たぞ!アセビ達呼んできてくれ!」

「はーい!ちょっと待って今行くから!」

私は作業エプロンを外すとライの家に行った。

「おじさん!おばさん!用意できたよ!」

「ああ、分かった。いつもありがとう。」

「ちょっと待ってね。リアを呼んでくるわ!」

「ライはまだ帰ってきてないの?」

「ああ。まだ帰って来てないんだよ。」

「ちょっと探してくるね!」

「ありがとう。気をつけるんだよ。」

「はーい!ありがとうおじさん気をつけるよ!」


(ライどこまで帰って来てるのかな…?)

私はライを探して歩いていると、

「いやっやめて!離して!」

「いいじゃねえか!ちょっとこいよ!」

「どうせ暇だろ?」

「いやです!この後、彼と会うんです!」

「俺らの方がいいって!」

「いや!」

(こんなロマンチックな日に嫌なものを見たわ…!でもライと一人で突っ込まないって約束したしなぁ…。)

う〜んと考えてから、

「あっ!こっちに注目させれば…!」

と一か八かの作戦に出た。


「ねぇねぇお兄さん!暇なの?」

「…あ?今取り込んでんだよ…ってなんだ?姉ちゃん可愛いじゃねえか。」

「どうかしたのか?姉ちゃん、遊んでくれんの?俺ら二人だからちょうどいいじゃん!」

(よし!かかった!あとは上手く…!)

「えぇ〜?私その子と遊ぶの〜?」

「なんだよ?じゃあ俺ら三人がいいのか?」

「なんでだよ!人数ぴったりなのによ!」

男二人の意識がこっちに向いた。

(よし!こっちに集中してる!…今だ!逃げて!)

私は女の子とアイコンタクトをとると、逃げるように促した。最初は躊躇っていたけど、大丈夫と笑うと走って行った。

(あとは上手く逃げるだけ…!)

「やっぱりいいわ。じゃあね!」

「あ!?待てよ!」

「あっおい!あの女いないぞ!」

(…気づいたか。タイミング…!もうちょっとだったのに!)

走って逃げようとしたけど、手を掴まれてしまった。

「逃げようったってそうは行かないぞ!一人は逃げられたからな。」

「あなたたちは「フルムーンウィッシュ」知らないの?あの素敵な物語を!そんな物語の日に女の子が嫌がることやるなんてサイテー!サンと真逆だわ!」

「なんだと!しらねぇよそんなん!」

バシャ!と手に持っていたお酒をかけられた。

(こいつら…!…いや、我慢我慢。)

私はそのまま倒してしまいそうになるのを堪えて笑顔を取り繕った。

「女の子にお酒をかけるなんて!そんな人とは一緒にいれないわ!じゃあね!」

私は手を振りほどいて逃げようとすると思い切り壁に押し付けられた。

「〜っ!いった〜!」

「逃すと思ったのか?残念だったな。」

「観念しろ。」

(ダメだ。…もう我慢の限界。ごめんライ!)

「いい加減に…!」

「チェルに手を出すな!」

「…ぐっ!」

「しろ!…えっ?ライ!?」

私はお腹に蹴りを入れようと構えた瞬間、目の前の男が倒れた。

「あっ!ちょっと待ってライ!」

私はもう一人を倒そうとしているライを止めた。

「…なんでだ?こいつを庇う必要はないはずだ。」

「庇わないよ。ただ…私の怒りがおさまってないから。…私にやらせて。」

「そう言うことなら分かった。」

「ありがとう。ライ。」

「お、おい。待て!…ぐっ!」

私はそう言うと、男のお腹に回し蹴りを決めた。

「はぁ〜…。まだ怒りがおさまんないけど、まぁまだすっきりしたかな。…ところでライどうしてここが分かったの?死角だったのに。」

「ああそれはこの人が教えてくれたんだ。」

「この人?…ああ!さっきの女の子!大丈夫だった?」

「先程はありがとうございました!はい。大丈夫です!」

「そっか。良かった!気をつけて帰ってね!」

「はい!本当にありがとうございました!」

私が手を振りながら見送っていると、ライに睨まれた。

「…チェル。俺約束したよな?一人で突っ込まないって。」

「突っ込んでないよ!ちゃんとライが来るまで倒さなかったし!…危なかったけど。」

「男相手に無防備で行く奴があるか!」

「いや、賭けだったの!誘惑に乗ってくれるかなって!私に集中すれば逃げられるでしょ?」

「そんなの乗るに決まってるだろ!もし俺が来るのが遅かったら危なかったかも知れないんだぞ!」(チェルは可愛いんだから!ちょっとは自覚しろよ!)

「ご、ごめんなさい。でも何とかなったし!」

「何かあってからじゃ遅いってことが分からないのか!?」

「はい…。ごもっともです。」

「はぁ〜…。全く、お酒もかけられたのか。」

ライは私の服を拭こうとしてくれた。

「ああいいよ!濡れちゃうし土と混ざってどろどろで汚いし!」

「別に汚くない。それに人を助けて汚れたならむしろ綺麗だろ。」

「…!ありがとう…。」

(そんな言葉を女の子に向けたら、恋に落ちるって!もう、だからライはずるい!)

私は顔を赤くして、ライと歩いた。

「あっそう言えば私はライを呼びに来たんだよ!いつもの用意が出来たんだ!早く帰ろう!」

「ああ。そうだな。」

「「あれ?何してんのライ。チェル。」」

帰っていると、見回りが終わって家に帰っているところのロッカ、ロッサがいた。

「ロッカ、ロッサ!二人もおいで!餅つきやるんだ!」

「ああ!毎年やってるやつか!おう!行く行く!」

「僕も行くよ!楽しいからね!そう言えば…チェル何で濡れてるの?」

「あぁ…。ちょっといろいろあってね。」

「早く着替えないと、風邪引くから帰ったらすぐ着替えなね?」

「うん!ありがとうロッサ!」

家に帰って、すぐに着替えて裏庭にいくと、いつものようにお父さんが杵と臼を用意して待ってくれていた。

「よし!チェルも着替えて来たし、みんないるな?じゃあ始めるぞ!ミア!」

「はーい!ちょっと退いて!…行くよ〜はい!」

お母さんはみんなをどかすと炊き立ての餅米を臼に入れた。

「よしつくぞ!」

「もうちょっと冷ましてからの方がまだやりやすいんじゃないのか?」

「ね!兄さん。熱そうだよ。」

「餅は時間との勝負よ!熱いうちから始めないと!」

そういうとお母さんとお父さんは餅つきを始めた。

「はい!」ぺたん「はい!」ぺたん

とタイミングよく交互についている。

「チェルもやる?」

「やる〜!ライやろ!」

「ああ。いいぞ。」

「行くよ!」

「…はい!」ぺたん「…はい!」ぺたん

「チェルちょっと遅いわね。」

「だって怖いんだもん!」

「「おばさん、おじさん俺たちもやっていい?」」

「ええ。ロッカくんたちもやっていいわよ!」

「よしやるぞ!ロッサ!」

「いいよ!兄さん!」

「はい!」ペタ「はい!」ペタ

「「「「おぉ〜!!」」」」

二人はとても息があっていて、お母さんたちと私たちより早かった。

「すごいすごい!息がぴったりだね!」

「「まぁな!それほどでも。」」

「じゃあ次おばさんたちだね!」

「私たちはいいよ。」

「何言ってるのベリー。年に一度なのよ?やらなきゃ!アセビも!」

「じゃあ、少しだけやろうかな。」

「ベリー。行くよ?」

「はい。」ペタ「はい。」ペタ

「あともうちょっとだ!…リア!一緒にやろ!」

「…うん!やる!」

「じゃあ行くよ?危ないから振り下ろしてから手入れてね?」

「うん!分かってるよ!」

「せーの!」

「はい!」…ぺたん「はい!」…ぺたん

「…うん!いい感じね!じゃあまるめて食べましょう!」

「やった〜!出来た〜!」

「チェル姉ちゃんまだ食べちゃダメだよ!」

「はーい…。」


「見てみて!雪だるま!」

「それ重ねただけじゃない!お母さんはもっと細かいよ!…ほら、ウサギ作ってる。」

「ええ!?うさぎ!?…ほんとだ!!おばさん凄すぎ!…あっ、お花もある!」

「猫もあるわよ〜!」

「ええ〜!?」

「母さん遊んでないで丸めて。」

「ええ〜。そんなこと言わないでよライ。可愛いでしょ?」

「そうだよお兄ちゃん!たまにうさぎとか入ってたら可愛いじゃない!」

「ね〜!リア!」

「食べたら一緒じゃないか。」

「「ひどい!」」

「でもこれだけ人数いたらすぐ終わるわ!…それに、ベリーが作ったうさぎ可愛いからいいじゃない!」

「ミア!ありがとう!」

「ライ!私もおばさんの作ったものもっと見たい!可愛いし!」

「チェルちゃんもありがとう!」

「はぁ〜…。俺たちが頑張って丸めたらいいんだろ。」

「ありがとうライ!」

「ライはチェルちゃんの言うことはよく聞くのに私のことはあまり聞いてくれないのね〜…!」

「お兄ちゃんそういうとこあるよね〜。」

「そんなことない。…母さん嘘泣きはやめろ。」

「あら。バレた?」

「バレバレだ。」

と話している後ろで、

「まぁライはチェルが大好きだからな。そりゃ甘くなるよな〜。」

「そうだね〜兄さん。多分ああ言ったのもチェルのためだしね。チェル早くお団子食べたそうだったから。」

ロッカとロッサは会話を聞かながら向こうに聞こえないように話した。

「「素直じゃないね〜…。」」

とライをみて苦笑した。


「そんなこんなで出来たわよ!」

「やった〜!お団子〜!最初はきな粉からっ!」

「じゃあ俺はあんこからにする。」

「私はみたらし団子にする〜!」

「「俺たちはきな粉!」」

とそれぞれかけていき、

「みんな用意できた?じゃあ。」

「「「「いただきま〜す!」」」」

「ん〜!美味しい!よく伸びるね!」

私はびよ〜んと伸ばしながら言った。

「ああ。よく伸びるな。」

「「きな粉美味しい!!」」

「ねぇお母さん!作ったものみせて!」

「いいわよ!…じゃん!」

「「「「おぉ〜!細かい!!」」」」

「可愛いこの犬!よく作れたね、おばさん!」

「みんなが褒めてくれるから頑張っちゃった!」

「さすがベリーね!細かいし、クオリティーが高いわ…。」

「ありがとうミア〜!」

「「これ龍!?かっけ〜!!」」

「へぇ〜!龍も作ったんだ〜。って…えっ龍!?そんなのも作ったのおばさん!?よく作れたね!?」

ロッカとロッサが言ったのを聞いて、私は二度見した。

「はさみを使えば簡単だったわよ〜?」

「いや…簡単って言うレベルじゃないよ…。」

それから私たちは月を眺めながらお団子を食べて、また話に花を咲かせながら過ごした。


「もうこんな時間ね。帰りましょうか?」

「そうだねベリー。あまり長くお邪魔しても何だし。ライ、リアも帰ろうか。」

「分かった!じゃあね、ありがとう!」

「ああ。ありがとう、お邪魔しました。」

「別にゆっくりして行ってもいいのに〜。」

「「じゃあ俺たちも帰る!ありがとう、美味しかった!…それじゃあお邪魔しました〜!」」


「みんな帰ったわね〜。私たちも片付けて寝ましょうか!」

「うん!今日は忙しかったからね〜。ふぁ〜あ。」

「大きいあくびだなぁ。じゃあ片付けるか。」

私たちは道具をしまって家に戻った。


「今日は疲れたなぁ。…フルムーンライト祭か。私の本音を手紙に書いて月の神様に送ればこの思い届けてくれるかな…?」

私は月を見ながらそう呟いた。

「な〜んて。これは自分で伝えなきゃね。…「フルムーンウィッシュ」のようなことにはいかないよね。もし届いたとしても「私」は選べるのかな。」

私は苦笑して、その日は眠りについた。

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