4章 予想外のコンテスト!

第4話

「これより花咲高校、美男美女コンテスト「ジャスミンショー」を開催いたします!!」

「「「「おぉ〜!!!!」」」」

「待ってました!」 「急遽香花くん達出るらしいよ!」 「えぇ〜楽しみ!」

「皆さんお待ちかね出場生徒を紹介します!まずは…」


「あっ!始まったね!何するの?」

「特技を披露したり、アピールして、いいと思った生徒に観客が投票し多かった奴が優勝だ。」

「ヘぇ〜。」

「興味ないな。」

「だって、無縁だったから。」

「あのな…。」

「はいはい。もうそろそろ出番よ?」

しおが私たちに言って袖まで行くと、

「あれ?あそこにいるの後輩ちゃんじゃない?」

袖に後輩ちゃんがいた。

「そうだな。」

「そうね。あの子も出るんじゃない?」

私たちが話していると、

「あっ!先輩!」

後輩ちゃんが気付いてこっちに来た。

「先輩も出るんですか?」

「あぁ。急遽な。」

「こんにちは!あなたも出るの?」

「咲良先輩こんにちは!はい。私なんか出る資格ないのに他に出れる人いないからって…。」

「十分可愛いじゃん!自身持ちなって!私こそないんだから!」

「おい。そんな自身満々に言うことじゃない。」

香が私に言った。

「ふふふ。仲がいいですね!私も頑張ってきます!」

「うん!頑張ってね!」

私は後輩ちゃんにグーサインを出して送り出した。

「じゃあ咲も頑張らないとね?」

「頑張るけどやっても意味ないと思うよ?」

「それはやってみないと分からないわよ?」

しおは、ふふふと何かを確信しているような笑みを浮かべていた。


「うわぁ!後輩ちゃん可愛い!」

後輩ちゃんはエプロンをして、スポンジケーキにデコレーションをしている。

「器用だねぇ〜!しかもデコレーションも可愛い!」

「本当上手ね。」

「美味しそう…!」

「お前はあいかわらず食欲にしか興味がないな。」

「次、佐藤さんお願いします!」

「あっはい。じゃあ行ってくるわね。」

「うん!しお頑張ってね!いってらっしゃい!」

「行ってきます。」

「続いては花咲高校のマドンナ。佐藤詩音ちゃん!」

「こんにちは。そうね…。じゃあこのハンカチに刺繍を。」

そういうとしおは、ハンカチにシオンの花を刺繍した。

「うわぁ…。凄い!」 「繊細だ…!」


「さすがしお!みんなも見とれてる!」

「次は、紫丁くんお願いします!」

「あぁ。…行ってくる。」

「いってらっしゃい!頑張ってね!」

「あぁ。お前も頑張れよ?」

「うん!頑張るよ!」

「続いては花咲高校のプリンス、紫丁香花くん!」

「…よろしく。そうだな…。そこのボール借りていいか?」

「どうぞどうぞ!」

「ありがとう。…よっと。」

そういうと、香はボールを自在に操りリフティングを始めた。

「凄い!カッコいい!」 「頭の上にも乗ってる!」 「うお〜!すげ〜!」


「香もさすが!…私は何をしよう?」

「次、里中さんお願いします!」

「あっはーい!」

「続いてはマドンナとプリンスの幼なじみ、里中咲良ちゃん!」

「えっ?咲?」 「咲は、美人でも美少女でもないよな?」

会場がざわざわとしだした。

「はーい!こんにちは!…えーとアピール?どうしようかな?バスケは無理だし、走るのも無理だし…。ん?あっそうだアピールすれば良いんだもんね!」

私は衣装を隠してたマントを取ると、

「ご主人様!投票してにゃ?…あれ?」

と可愛く猫のポーズをすると会場が一気に鎮まった。

「なんで?どうして静かになったの?」

「「「「…か、可愛い〜!!!!」」」」

「…うわぁ!!急になに!?」

みんな声を揃えて言った後会場が大騒ぎになった。

「なんと可愛い猫メイドでしょう!…さて!皆さん以上で全員です。良かったと思った生徒に投票して下さい!」


「なんだったの?さっきの?」

「咲、お疲れ様。気にしなくていいわよ。」

「あぁ。気にするな。」

「えぇ〜。気になる!」

「…はい!出ました!今年のジャスミンは…!

里中咲良ちゃんです!前へどうぞ!」

「えぇ〜!!私!?」

「やったわね咲。」

「ほら行ってこい。」

「えっなんで?なんで香としおじゃないの?」

混乱しながら二人に押されて前に行くと、

「いやぁ素晴らしい猫メイドでしたね!みんなをメロメロにしちゃいましたもんね!」

「えっ?い、いやぁそんなつもりは…。」

「今年のジャスミンになった咲良ちゃんには、ジャスミンの花をモチーフにしたブローチが贈られます!おめでとう!」

「おめでとう〜!」 「可愛かったよ〜!」

「あ、ありがとうございます。」


「まだ混乱してるわね。」

「まぁ今までこんなことなかったからな。」

「ライバルが増えるわね〜。」

「なっ!…なんでそれを。」

「何年一緒にいたと思ってるの?ずっと一緒にいたんだから分かるわよ。でもあの子は鈍感だから気づきもしてないわ。一筋縄ではいかないわよ?伝えなきゃ意識もしてもらえないわ。」

「分かってる。…隠してたつもりだったんだがな。」

「まぁ。普通はわからないと思うわ。でも香は咲のことになると、耳を触るのよ。」

「耳?」

「ええ。咲の話をしていたり、咲が香の元に行ったり、話しかけたりする時は右耳を触っているのよ。照れ隠しかしらね?」

「そうなのか?…気づかなかった。」

「ふふ。無意識ね。今も触ってるわ。…ほら、咲が帰ってきたわよ?その赤い顔直しなさい。」

「わ、分かってるよ!」


「香〜!しお〜!なんで私が選ばれたのかな!?もっと美人な子いっぱいいたのに!」

「はいはい。さて次の「ラナンキュラスショー」に行くわよ。」

「えっ?うん分かった!」

「…チョロすぎだろ。」

「ん?なんか言った?」

「いいや。何でもない。」

香は、右耳をかきながら咲の元に行った。


「ありがとう!出てくれて!」

「だってせっかく頑張って作った服なのに、ショーに出せないなんてもったいないもん!」

「ありがとう…!さっそく詩音ちゃんと咲は双子コーデの衣装着て!…それで香花くんにはウェディングスーツを着て欲しいの!」

「ウェディングスーツ?」

香は首を傾げて言った。

「そう!テーマは結婚式なんだけど、相手役の子がいなくて探してたんだ!」

「へぇ〜!結婚式!いいね!華やかなショーになりそうだね!」

「ありがとう咲!花嫁役はあの子なの!」

「あれ?後輩ちゃんだ!…お〜い!」

「…?あっ先輩!さっきはおめでとうございます!」

「ありがとう!こっちも出るんだね!」

「はい。友達が私をモデルに作りたいと言ってくれて。」

「そうなんだ!絶対似合うよ!」

「ありがとうございます!」

「じゃあみんな準備するからこっち来て!」


「…よし!完成!」

「うわぁ…!可愛い!」

ピンク色のワンピースに桜のデザインが散っている。髪飾りや小物にも桜モチーフの可愛らしいデザインだった。

「詩音ちゃんもできたよ!」

「うわぁ!綺麗!」

しおは、紫色のワンピースにシオンの花のデザインが散っていて、髪飾りや小物もシオンの花の綺麗なデザインになっていた。でもデザインの形は私とよく似ていた。

「…うん!やっぱり完璧!本来着てもらうのはこれじゃなかったんだけど、二人が着てくれるなら私が二人をイメージして作った服をと思って!」

「えっ!私としおをイメージして?ありがとう!嬉しい!」

「ありがとう。私も嬉しいわ。」

「良かった!」

「香花くんたちも出来たよ!」

「う、わぁ〜…!綺麗…!本当に結婚式だね!」

「そうね。…でも咲それは言わない方がいいわ。」

「えっ?どうして?」

(香が落ち込んでるもの。)

「本当に結婚するわけじゃないでしょ?」

「あっそうだね。分かった!」

「じゃあみんな!出番だからスタンバイお願い!」

「はーい!」


「さてさてお次は「ラナンキュラスショー」!魅力あふれる服に身を包んだ生徒が出てきますよ〜!なんとジャスミンを賜わった生徒も出てきますのでお見逃しなく!…それではスタート!」


「みんな綺麗だし、可愛い!」

「そうね〜。私たちも行きましょうか。」

私たちは手を繋いで、みんなに手を振りながら、センターでポーズを決めた。

「可愛い〜!」 「落ち着いた詩音ちゃんと元気いっぱいの咲にピッタリの服だね!」


「みんな褒めてくれてるね!」

「デザインも可愛いものね。」

「あっ!次は、香たちだ!」

「舞台袖で見てようか。」

「うん!」

私は香たちとすれ違う時に小声で「頑張って!」と伝えると、しおと一緒に袖に戻った。

香たちが出るとみんな息を呑んで見ていた。

「綺麗…。」 「絵に描いたような二人だね。」 「うん。お似合いだね。」

(本当にお似合いだね!もし二人が結婚したらこんな感じかな?)

そう思ったけど、何故か胸がモヤモヤした。

「あっ危ない!」

後輩ちゃんがヒールが折れて、倒れそうになっていた。

「危なっ!…大丈夫か?」

「はい…。ありがとうございます。」


「…ほっ。良かった。」

間一髪で香が支えて無事だった。

「これじゃ歩けないな。…ちょっとごめんな。」

「…えっ!?重いですから!下ろしてください!」

「大丈夫だからじっとしてて。」

「…はい。」

香は後輩ちゃんをお姫様抱っこして歩き出した。

ズキっ

(なんか胸がズキズキする。)

「どうしたの?咲。」

「ううん。なんでもないよ!」

(女の子だなぁ…。私には程遠いね。香も私と後輩ちゃんで扱い方が違うし。そりゃそうか…。私は可愛くないし、ガサツだし、可愛げがないもん。)

そう思って何故かさっきよりも胸の痛みが増した。


「今年度のラナンキュラスを賜る衣装&モデルは…!美しい花嫁花婿を見せてくれたお似合いのこの二人です!」

「おめでとう〜!」 「すっごい綺麗だった!」


「二人ともおめでと〜!綺麗だったよ!…香もお姫様抱っこまでしちゃって!」

「ありがとな。あれはヒールが折れて…ん?なんかあったのか?咲。」

「えっ?何にもないよ?」

「なにか落ち込んでるだろ。」

「え〜?私落ち込んでる?気のせいじゃない?元気だよ!」

私は賞取れなかったのは残念だったけどね!と明るく言った。

「…そうか?ならいいけど。」

「うん!全然大丈夫!ありがと香。大変だったね〜。大丈夫だった?」

「はい。香花先輩が支えてくれて…!ほんとにありがとうございました!」

「…そっか!無事で良かった!」

(咲。もしかして…。)

しおは、咲の様子に何かを感づくのだった。

「みんなお疲れ様!本当にありがとう!助かったよ!これ学園祭の割引券!良かったら使って?どこでも使えるから!」

「わ〜!ありがとうございます!この後使いますね!」

私たちは、生徒会長からお礼に学園祭の割引券をもらったんだ!後でパンケーキ食べよっと!

「…あの!香花先輩!あ、あのこの後一緒に回りませんか!せ、せっかく割引券もらったので…!」

「いや。俺は咲たちと回るから…。」

「行っておいでよ。香。私はしおと回るから。」

「…なっ!?何でだよ?」

「せっかく誘ってくれてるんだから!それにさっき一緒に回れたし!」

「…分かったよ。じゃあ行くか。」

「…!はい!ありがとうございます!」

「次の交代までにちゃんと戻ってきてよ?香。」

「分かってるよ。咲も忘れんなよ?じゃあまた後で。」

「うん。じゃあね!」


「良かったの?咲。」

「ん?何が?」

香たちと別れた後、しおと一緒にパンケーキを食べに行った。

「香と別行動して。」

「うん。きっと後輩ちゃんと楽しんでるよ!」

「…そうね。」

「まだもうちょっと時間あるね!次どこ行く?」

それから私たちはいろんなお店に行って楽しんだ。

「ちょっとトイレ行ってくるね!」

「分かったわ。私はもうちょっとここの雑貨見てるわ。」

「分かった!待っててね〜!」


「あっ…。香。」

私がトイレから帰ろうとすると廊下の奥の方に香たちがいた。

「お似合いだなぁ。それにすっごく楽しそう。」

一緒に回っている二人はとても楽しそうに笑っている。

(香。後輩ちゃんといるとすごく楽しそうに笑うね。…私には呆れた笑顔の方が多いのに。)

私はネガティブになっていることに気づいて慌てて首を振って気持ちを切り替えた。

「よし!暗くなっちゃダメ!しおが待ってるから早く行かなくちゃ!」


「しお〜!お待たせ!そろそろ時間だから戻ろう?」

「おかえり咲。そうね。行きましょうか。」

しおと一緒に話しながら教室前に行くと、

「なんか賑わってるね?」

「何かやってるのかしら?」

と隙間から覗くと、香と後輩ちゃんがいた。

「ラナンキュラスの二人がいるぞ!」

「あっほんとだ!綺麗だったよ〜!」


「あぁ。なるほどね。香たちが一緒にいるから集まってるのよ。今年の優勝者だしね。」

「あっ!そっか!…でもあれじゃ入れないんじゃない?」

「そうね。…助けてあげましょうか。」

「りょ〜かい!教室に入ったらいいんだよね?」

「ええ。教室に入ったらさすがにこの人数は入れないしね。」

「まかせて!」

そういうと私は隙間をぬって素早く香たちを掴むと教室に引っ張った。

「…!?おい!なんだ!?」

「…きゃぁ!?」

「二人とも大丈夫?」

「なんだ咲か…。」

「びっくりしました…。」

「あはは!ごめんね〜二人とも!こうするしかなくて。」

「囲まれてたから咲が助けてくれたのよ?」

「あっしお!無事に入ってこれたんだね!」

しおはええ。と笑って頷いた。

「そうだったのか。ありがとな咲。」

「ありがとうございます。咲良先輩!」

「ううん。無事に入れて良かったよ!」

「あっ!咲たちおかえり!…あれ?ラナンキュラスショーに出てた子だよね?ゆっくりしてってね!」

「はい!ありがとうございます!…そういえば香花先輩はコスプレって聞きましたけど、なんのコスプレ何ですか?」

「あぁ…。俺は…王子。」

と嫌そうに言った。

「王子様…!絶対似合いますね!あっ私まだ時間あるのでお茶していってもいいですか?」

(えっ?後輩ちゃんがここにいたら香のコスプレ姿見ちゃう…。なんか嫌だな…。えっなんでこんなこと思ってるんだろ?みんなも見てるのに…。)

「…く?咲!どうしたの?ボーッとして。」

「えっ?ううん何でもないよ!ごめんね。」

「そう?気分悪くなったら、すぐ言うのよ?…それでこの子がここでお茶するって話だけど、どうする?咲。」

「別に私に聞かなくていいのに〜!みんながいいなら否定する理由もないし!」

「…そうね。じゃあここに座って。注文が決まったら呼んでね?」

「はい!ありがとうございます!」

「ゆっくりしていってね!」

「ありがとうございます!咲良先輩!」

「…。」

しおは会話する二人を見つめていた。


「お待たせしました。姫。ミルクティーとカップケーキでございます。」

「あっありがとうございます。…うわぁ。カッコいいですね…!」

「あぁ…。ありがとう…。」

香はあんまり嬉しそうじゃなかったけど、後輩ちゃんは顔を赤くして嬉しそうに香を見ていた。

「咲、ぼんやりしてると香花くんあの子に取られちゃうんじゃない?」

私が料理を運び終わって、簡易厨房に戻ると、クラスメイトの子が話しかけてきた。

「え?取られるの?そんなのいや!まだ香としおと一緒にいたい〜!」

「…咲。そういうことじゃなくてね?恋愛の方の意味よ!」

「あっ…!そっち?香としおと離れなくていいなら別にいいよ?」

「恋愛の方以外に何があるのよ…。でもあの子ばかりかまって咲と一緒にいる時間が減るのよ?」

「えっ?そうなの!?」

「当たり前じゃない。彼女ができたら友達より優先するものよ?」

「そ、うなんだ…。」

(香が私以外の子と一緒にいて、私には一緒にいてくれない…。いやだ。そんなの。)

そう思ったら、何故か香と後輩ちゃんが一緒にいるのを見たくなくなって、

「ごめん。ちょっとトイレ行ってくるね。」

「えっ?うん、いってらっしゃい。」

トイレまで走った。


「はぁ…何でだろう。逃げちゃった。」

「咲。」

「えっ?しお?しおもトイレ?」

「ううん。違うわ。咲を追いかけてきたの。」

「私を?」

「咲。何か悩んでるんじゃない?」

「…!どうしてそう思ったの?」

「私がわからないわけないでしょ?ずっと一緒にいたんだから。それとも私を信用してないのかしら?」

「…!そんなわけない!しおのことは大好きだし、信頼してる!…でも自分でも分からなくて困ってるんだ。」

「ありがとう。…そっか。その感情は誰に向けてなの?」

「誰に…?私は香が後輩ちゃんのところに行っちゃって、もう一緒にいられなくなるのがいやで…。」

「香と後輩ちゃんが仲良くなりすぎるのが嫌なんでしょう?後輩ちゃんに嫉妬してるのよ。」

「嫉妬…?でも別に後輩ちゃんと仲良くてもいいよ?」

「でもそれは、後輩ちゃんに対するやきもちよ。これは簡単に片付けられるものじゃないから。もっと深い感情なのよ。だから気持ちに戸惑うことも、分からなくて混乱したりするの。今まで出ていた答えにいきなり違う答えが出てくるんだもの。戸惑って当然だわ。」

「もっと深い感情?それってどういう?」

「そのうち分かるわ。ゆっくり知って行きなさい。時間はまだあるから。」

「でも、そのうちに香がどっか行っちゃったら…!」

「大丈夫よ。香はどこにも行かないわ。咲が離れない限り。」

「ほんとに?」

「ええ。さあ戻りましょう。」

私は頷いて、しおと一緒に戻った。

「咲。どこ行ってたんだ?」

「ちょっとトイレ行ってたんだ。」

「そうか。大丈夫か?最近元気ないだろ。」

「…!…うん!大丈夫だよ!」

(そっか…。香も気付いてたんだ。ダメだなぁ。一人で考え込んじゃ。同じ答えにしか辿り着けないのに…。やっぱりこんな考え込んで元気無くすのなんか私じゃない!香やしおにも心配かけるし!私は私のままで!)

「よし!!頑張るよ!!」

私はパチンと頬を叩くと、出来た料理を運び始めた。

(吹っ切れたみたいね。まだ分からないままだろうけど、元気に突っ走ってくのが咲よ。だから私は咲が道に迷わないように、立ち止まらないように支えないとね。)

しおは、咲を見て微笑んだ。

「そうだ。咲これやる。」

「何これ?…うわぁ!桜のブローチだ!可愛い!」

桜の中心にキラキラした赤い石がはめ込まれているブローチだった。

「咲に似合いそうだと思って。」

香は耳をかきながら言った。

「ありがとう!香!大事にするよ!」

「おう。」

私はバックに入れて仕事に戻った。

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