第1章 第10話: 「バカバカしい結末」

盗賊たちが再び町に現れ、私たちはついにその時が来たことを感じ取った。彼らの背後には、町の有力者が財宝を狙っていることもわかっている。今回こそは、きっちりとこの状況を解決しなければならない。


「お姫ちん、あたしたちの準備は完璧だよ!今回こそバッチリだね!」

お怜が自信満々に私に話しかけてくる。彼女はいつも楽観的で、私はその明るさに救われることが多い。


「うん、今回は本気でやらないとね。鎮光、準備は整った?」

私は鎮光に声をかける。彼はいつもの無表情で、冷静に頷いた。


「はい、姫様。今回は一切の情けをかけることなく、首を跳ねさせていただきます。」

鎮光がまた物騒なことを言い出す。私はすぐに彼を制止した。


「だから、首を跳ねなくていいの!今回は、もっと別の方法を試すわ。」

私は少し笑いながら、彼を落ち着かせた。彼はどんな状況でも真剣に対応してくれるのはありがたいが、いつも少し行き過ぎてしまう。


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その時、私たちが準備していたある奇策が実行される時が来た。盗賊たちが町の広場に集まり、リーダーが私たちに向かって歩いてきた。


「よぉ、お嬢様。交渉しに来たぜ。」

リーダーは自信満々にそう言ったが、私は内心ほくそ笑んでいた。今回の準備は万全だったからだ。


「あなた達なんかと交渉なんかするもんですか!。」

私は堂々と宣言し、お怜が合図を送る。


「今だ、お姫ちん!」

お怜が叫び、町の住民たちが一斉に広場に現れた。彼らは手に持っていたものを一斉に振り回し、盗賊たちの周りに円を描くように囲み始めた。


「なんだこれは?」

盗賊たちは突然の出来事に驚き、動揺している。町民たちは、竹の棒に巻きつけた鈴や鏡を使い、盗賊たちに向かって大きな音を立て始めた。


「お姫ちんの策、効果抜群だね!こいつら完全にビビってる!」

お怜が笑いながら言う。盗賊たちは、その不思議な光景に完全に圧倒されていた。実はこの作戦、昔から伝わる「悪霊を追い払う儀式」を応用したものだった。


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「なんだ、これ……!?」

リーダーはパニックに陥り、部下たちも混乱している。町民たちの鈴の音や鏡の反射光が、まるで彼らを取り囲む悪霊のように見えたのだ。彼らはまさに、自分たちが何か得体の知れない力に襲われているかのように錯覚していた。


「これは……まさかの霊か!?逃げるぞ!」

リーダーは完全に怯え、盗賊たちは慌てて退散していった。私たちの奇策が、思った以上に効果的だった。


「やった、お姫ちん!大成功だよ!」

お怜は大笑いしながら私に向かってガッツポーズをした。私は安堵しながらも、まさかこんなバカバカしい方法で解決するとは思っていなかった。


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「鎮光、今回は首を跳ねる必要はなかったみたいね。」

私は笑いながら彼に話しかけた。鎮光は無表情のまま、静かに頷いた。


「はい、姫様。しかし、次回こそ……」

「次回もこれでいけるかもね。」

私は冗談交じりにそう言い、風に揺れる鈴の音を耳にしながら、町に戻ることにした。


---


こうして、町は再び平和を取り戻した。今回は、お怜のアイデアを元にした奇策で盗賊たちを撃退することができた。やっぱり、バカバカしい方法が時には最も効果的なのかもしれない。次の騒動も、この方法でうまくいくといいけれど、どうなることやら……。


**第1章 終わり**

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