第1章 第7話: 「お姫ちんの直感」

盗賊たちが去っていった後、町は再び穏やかさを取り戻した。しかし、私の心は今もざわついたままだ。あんなに簡単に引き下がったのが、どうしても腑に落ちない。


「お姫ちん、結局、なんだかんだ言ってあいつら退散したし、もう大丈夫っしょ!」

お怜は明るい笑顔でそう言い、私を励まそうとしている。彼女の楽観的な態度はいつも私に元気を与えてくれるけれど、今回は何かが違う。私の中で、何か引っかかるものがある。


「うん、でも……なんだか変なの。こんなに簡単に引き下がるなんて、普通じゃないわ。」

私は静かにそう答えた。お怜はその言葉を聞いて、少し考え込むような顔をしたが、すぐに肩をすくめた。


「まぁ、確かに。だけど、お姫ちんが言うことも一理あるけどさ、あいつらがもっと悪いことしようって考えてたなら、最初から攻撃してきたんじゃない?」

お怜の言うことも一理ある。彼女の言葉に少し考え込んでしまったが、それでも私は何か違和感を感じずにはいられなかった。


「鎮光が言っていたように、あの盗賊たちの中に一人、目立たない人物がいたってこと、気になるの。」

私はその人物について、もっと知りたいという思いが強くなった。何か大きな秘密が隠されているのではないかという直感が働いている。


「姫様、その者が戻ってくる可能性もあります。警戒を怠らぬようにしましょう。」

鎮光が冷静な声でそう言い、私に忠告してくれた。彼の言う通り、彼らが次に何を企んでいるのか分からない限り、安心するわけにはいかない。


「そうね……もう一度、しっかりと調べる必要があるわ。鎮光、彼らの行方を追ってくれるかしら?」

私は鎮光に頼み、彼は無言で頷いた。彼の頼もしさに、私は少しだけ安心する。彼が調査を進めてくれれば、きっと何か手がかりが見つかるはずだ。


「お姫ちん、あたしたちも何かしようよ。あたし、なんかこうじっとしてるの、性に合わないんだよね~。」

お怜が楽しげに言いながら、軽く私の肩を叩く。彼女の言葉に、私も笑みを浮かべた。


「そうね、私たちも動かなきゃ。情報を集めに行きましょう。」

私は決意を新たにし、お怜と共に町の中を歩き始めた。次に盗賊たちが何をするつもりなのか、それを突き止めなければならない。


---


町を歩く中で、私たちはいろいろな人々から話を聞いた。町の人々は盗賊たちの突然の撤退に驚いていたが、その中には何か不審な動きを感じ取っている者もいた。


「なんだか、奴らが何かを探してるみたいな感じだったんだよな……。」

とある店主がそう言い、私に情報を提供してくれた。その言葉を聞いて、私の胸は再びざわめき始めた。やはり、盗賊たちは何かを探していたのかもしれない。


「お姫ちん、やっぱり何かあるね。あたしたちももうちょっと探ってみようよ。」

お怜が元気よくそう言い、私を励ましてくれる。彼女の楽観的な性格に救われつつ、私はさらに情報を集める決意を固めた。


「ええ、もっと調べましょう。何か手がかりがあるはずよ。」

私はそう言いながら、鎮光が調査を終えて戻ってくるまでに、できるだけの情報を集めることを誓った。

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