第1章 第3話: 「トラブル発生!」

城下町の賑わいの中、私たちはいろいろな屋台や店を見て回っていた。焼き団子を食べた後も、次は何を見ようかとわくわくしながら歩いていたが、ふとした瞬間、周囲のざわめきが妙に騒がしくなった。


「ん?なんか雰囲気変じゃない?」

お怜がきょろきょろと周りを見渡しながら言う。私も同じように周囲を見てみると、人々が何かに焦っているような顔をしているのが目に入った。何かが起こっている……。その予感が胸をよぎる。


「姫様、ご注意ください。何か異常があります。」

鎮光はすでに私たちの前に立ちはだかり、手を剣の柄にかけている。いつも通りの冷静な様子だが、何かを感じ取っているのだろう。私は彼の背中を見て、少しだけ心強く感じながらも、その硬い態度に少し苛立ちを覚えた。


「鎮光、大丈夫よ。ちょっと様子を見れば分かるわ。」

私は彼の肩を軽く叩いて、緊張を解こうとするが、彼の表情は変わらない。


「姫様、念のために申し上げますが、この無礼者どもの首を跳ねる準備はいつでもできております。」

またそのセリフ!どれだけ首を跳ねたがるのかしら。私は軽くため息をつきながら、何かあれば自分で解決できる、と心の中で思っていた。


「だから、首を跳ねる必要はないって言ってるでしょ!」

私が軽く彼に抗議すると、ちょうどその時、周囲の騒動がさらに激しくなった。人々が何かに向かって集まっていく。騒ぎの中心には、明らかに乱暴な風貌の男たちが数人、町人を威圧している様子が見えた。


「ちょっと、あの人たち、何してるの?」

私は思わず立ち止まり、その光景に目を奪われた。どうやら、盗賊の一団が町人たちから無理やりお金や品物を巻き上げているようだ。そんな光景を目の前にして、私の心は自然と燃え上がる。


「お怜、行くわよ!」

「え、お姫ちん、マジ?やばくない?」

お怜は驚いた様子で私を止めようとするが、私はそのまま盗賊の方へと進んでいった。だって、こんな無礼な行いを許すわけにはいかない!


「姫様!」

鎮光がすぐに追いかけてきたが、私はもう彼の制止を聞いていられない。だが、次の瞬間、鎮光が私の前に飛び出し、私を守るように立ちふさがった。


「姫様、ここは私にお任せください。この無礼者ども、すぐに首を跳ねますので。」

彼は剣を抜く体勢に入り、真剣な目で盗賊たちを見据えている。私はすぐに慌てて鎮光を止めようとした。


「やめて!首を跳ねるんじゃないの!」

私は急いで彼の腕を引っ張った。すると、盗賊たちがこちらに気づき、私たちに向かって笑いながら近づいてきた。


「なんだい?お嬢様にお付きの侍がいるじゃねぇか。まあ、ちょっと遊ばせてもらおうかね。」

盗賊のリーダーらしき男が、私たちを嘲笑しながら近づいてくる。その無礼な態度に、私の心の中では怒りが沸き上がっていたが、それを冷静に押し留めた。


「ここは私に任せなさい。鎮光、手を出さないで。」

私は毅然とした態度で鎮光に言った。彼は少し躊躇したが、私の命令に従い、剣を抜くのを一旦止めた。


「お姫ちん、大丈夫?」

お怜が心配そうに私を見つめている。私は彼女に向かって軽く微笑んだ。自分の判断に間違いはない、と信じながら、盗賊たちに対峙する。


「あなたたち、何をしているの?町の人たちに迷惑をかけるなんて、許せないわ!」

私の声に、盗賊たちは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑い声を上げた。


「へぇ、お嬢様は勇敢だねぇ。でもな、そんなこと言っても、俺たちは止まらねぇよ。」

男たちがにやにやと笑っているが、私は怯むことなく、さらに一歩前に進んだ。


「私は愛。この町を守るために来たのよ。あなたたちの好きにはさせないわ。」

私の言葉に、男たちは一瞬言葉を失ったようだ。しかし、次の瞬間にはまた笑い声を上げ、私に近づいてきた。


その時だった。鎮光が再び私の前に立ちはだかり、剣を抜く体勢に戻った。


「姫様、これ以上の無礼は許しません。この者たちの首を、今こそ跳ねさせていただきます。」

彼の冷静な声に、私はまたしても慌てて彼を制止した。


「跳ねなくていいの!私がなんとかするから!」

私は必死に鎮光を押し止めながら、盗賊たちに再び向き合う。自分がどう解決するか、まだ考えはまとまっていないけれど、ここで逃げるわけにはいかない。

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