第4話 ダンジョンの過酷さ
俺はマップを展開し、毒に侵されている1人を発見した。何か嫌な予感がするが、やることもないので、とりあえず助けに向かうことにした。しかし、今回の様子は明らかに違う。周りには異様な数の死体が散らばっている。
「これは…ただの毒じゃないな」
周りの冒険者たちの死に方が奇妙だ。明らかに魔物に襲われた形跡もないし、死因が統一されていない。死体は恐怖に歪んだ顔で息絶えており、まるで何かに驚かされたような表情をしている。
これは罠かもしれない。だが、マップには罠の表示がない。もしこれが罠だとしたら、非常に巧妙なものだ。もしかすると、マップに表示されない新しい種類の罠か、あるいは強力な魔物が潜んでいるのかもしれない。
辺りに毒の霧が漂い始め、息を吸うたびに肺が焼けるように痛む。俺は毒消しを使って症状を和らげたが、長くは持たない。この霧の中で視界がぼんやりとしているが、先に何かが見える。こんな場所に花が咲いているのか?
近づくと、毒の霧の発生源がその花だと分かった。奇妙な形の花弁が淡い光を放ちながら、毒を撒き散らしている。俺は剣を抜き、その花を取り除こうとした。
だが、その瞬間、花の根元から何かが動いた。俺は反射的に後ろへ飛び退いた。そこに現れたのは、背丈が子供ほどの小さな人間のような姿をした魔物だった。目は冷たく光り、不気味な笑みを浮かべている。
「殺さないで、お願い!」
棒読みの言葉だ。感情のこもっていない声が何度も繰り返される。全身から不気味さが漂う魔物だ。
俺は躊躇せずに剣を振り、その首を跳ね飛ばした。体と首が離れても、その魔物はしゃべり続けていたが、次第に声が途絶えた。
毒の霧が次第に収まっていく。だが、毒に侵されていた冒険者たちは、既に助からなかった。俺は彼らを地上へ運ぶことを考えたが、上の階層にはまだ冒険者がいるはずだ。そこで彼らに知らせるため、上の階層へと向かうことにした。
上の階層にたどり着くと、1人の冒険者と出会った。彼は鎧を着込み、大剣を持ったソロの冒険者のようだ。体は小柄だが、どこか力強さを感じる。
「すまない、すぐに死体処理班を呼んでほしいんだが、いいだろうか?」
俺はその冒険者に頼んだ。すると彼は俺の話を聞き、驚きの表情を浮かべた。
「それは…先に行ってしまった僕のパーティのことかもしれない」
彼の顔が青ざめている。彼と一緒に現場に戻ることにした。俺がダンジョンの主になってしまったというのは、まさに皮肉だ。もともとはただの冒険者で、強くなりたくてこの迷宮に足を踏み入れた。だけど、今や俺はこの場所の最下層に閉じ込められ、半ば不本意にダンジョンの主となってしまった。
ここに集まる冒険者たちは皆、未知の冒険と一攫千金を夢見ている。彼らは宝を求め、力を競い合い、時には仲間を裏切ることさえある。ダンジョンでは、何が起きても不思議じゃない。力だけではどうにもならない場面も多く、知恵や運が必要になる。仲間同士の争いも日常茶飯事で、宝箱を巡る小競り合いが絶えない。
時折、冒険者同士の醜い争いを目にすることがある。ある者は宝箱を見つけたと主張し、他の者は報酬の山分けに納得しない。ダンジョンでは、取引という名の駆け引きもあるが、それは信用を犠牲にすることが多い。
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