第45話

それから美月はどんどんと仕事で成果を上げるようになっていった。

持ち帰って夜遅くまで打ち込んでいた仕事にどんどんと結果がついてきた。

美月は前にも増して仕事を持ち帰ってするようになり、たまに机に突っ伏したまま寝るようになっていた。

それを抱き上げてパソコンを充電してから自分の隣に寝かせるのはいつも蓮の役目だった。


朝になって目覚まし時計を鳴る前に止めた蓮が美月を起こした。


「あれ...朝? 蓮おはよう、また私寝ちゃってた?」


「おはよう、美月。昨日の夜は机で寝ちゃってたよ、気持ちよさそうだったから起こすのも忍びなくてとりあえずここまで連れてきたけど体痛くない?」


「大丈夫、どこも痛くない。ありがとう。……でも昨日もうちょっとやりたかったのに寝ちゃった」


「あんまり無理しない方がいいよ、体壊したら元も子もないんだから」


「それもそうなんだけどやりがいがあるとどうしてももうちょっと、もうちょっとって思っちゃって、なんかそれこそゲームみたいな感覚で」


「分かるよ、僕もそういう時あるもん。でも僕が美月が寝てからもずっと仕事してたら心配してくれるでしょ?」


「それはする、だって無理して欲しくないしいつか疲れちゃったら取り返しつかないかもしれないし」


「そう、それが僕と同じ気持ち。わかって貰えるかな?」


「分かった、確かにそうだね、ちょっと最近やりすぎちゃってたかもしれない。無理しすぎたら大変なことになっちゃうかもしれないもんね、夜遅くなったらやめておくね、心配してくれてありがとう。」


「いえいえ、帰る家を作っておくのが僕の役目だから。帰る家まで気を張る仕事場にしたくないだけだよ」


「なるほどたしかに、そうだね私も心配になっちゃうから仕事持ち帰るのはどうしても間に合わない時だけにする」


「分かってくれてありがとう、仕事に口出して悪いね、頑張ってて最近結果出てるのも僕見てるからね」


「うん、もうちょっとだけ寝る?」


「そうだね、朝早いしもう少しだけ寝ていようか」


二人がその後深い眠りにつきすぎてまた遅刻ギリギリに起きて焦ったのは言うまでもない。帰ってきてのハイタッチももはや恒例だった。

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