第42話

その日辺りから美月は持ち帰りで仕事をすることが多くなっていった。


「美月もう一時回るよ、寝ないの?」


「もうちょっとだけ頑張りたいの、先輩にどうやってでも認められたいの、あとちょっとやったら寝る」


「うん、分かった、じゃあもう少しベッドで待ってるから頑張り終わったらおいで」


「蓮ありがとう頑張る、絶対あの鬼に褒められてやる」


数十分してから美月は蓮のいるベッドに眠そうな顔で寄ってきた。隣を開けると布団に潜って腕の中で丸くなる。

「蓮あったかい、頑張った甲斐がある、全部の疲れが取れていくような気がする。明日もし先輩に褒められたら蓮も褒めてね、そしたらもっと頑張れちゃうから」


「もう十分頑張ってるよ、真面目だし素直だしもう前にやったミスだってしてないんでしょ? 美月はもう十分なくらいだよ」


「絶対しないと思って先輩怖くても聞きに行くようになったの、先輩以外と教えてくれるときは優しいからもっと早く聞けば……よかった」


「しゃべり方すごい眠そう。眠いならもう寝な、もう一日中働いたんだから明日のためにも早く休もう」


「蓮ありがとう……褒められると思うと……頑張れる……」


そう言って美月は蓮の腕の中で眠りに落ちた。すーすーと寝息を立てている美月が起きないようにそっと起き上がってランプを消してまた腕を美月の頭の下に滑り込ませて二人で眠りについた。

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