第41話

その日から美月は蓮と揃いの指輪をして仕事に出るようになった。そしてその頃から仕事も順調に進み始めているようだった。


「ねえ蓮ただいま、今日先輩に褒めてもらえたの! ずっと怒られてばっかりだったんだけど先輩も細かいところ見てくれてて、最近頑張ってるなって言ってくれたの。


これも全部蓮のおかげだよ、この指輪とネックレスがあると帰れる場所があるんだって思えて更に頑張れちゃうの、魔法のアイテムみたい」


「おかえり、ご飯できてるよ。褒められたのか、そっかそれはよかった! 最近美月前にも増して仕事頑張ってたもんね、それが報われたんだと思うと僕も嬉しい。こっちおいで、よく頑張ったね」


「うわー髪ぐしゃぐしゃにしないで、私犬じゃない、ペットじゃない! せっかく綺麗にしてたのが崩れる、でも撫でててはほしい、もうちょっと優しく」


「はいはい、好きなだけ撫でるよ、よく頑張ったね、結果に出てよかったね」


「あの鬼のような先輩に認められたと思うと嬉しくてしょうがない、鬼にも人情はあったんだってレベルで感動した」


「そんな怖いのよく耐えた、偉い偉いほーら偉い」


「だからぐしゃぐしゃは嫌だってば、……そうなのでもよく耐えたって他の部署の先輩からも言われたの、鬼先輩は期待してるやつには毎年すごい厳しいって聞かされて期待されてたから怒られたんだと思うとそれもまた嬉しくて」


「そうか、期待されてるなんてさすが美月、今日はお酒開けて宴にしよう」


「するする、仕事帰りのお酒が美味いって感覚最近やっと分かるようになったの、飲みたい飲みたい」


「もう冷やしてあるからもうちょっと僕に抱きしめられて甘やかされたら開けな、よく頑張ったー偉いぞ」


「んふふー偉いでしょ、偉いでしょ、頑張ったの、蓮あったかい、って事はビールがより美味しくなるってことだ」


「ちょっと僕よりビールなのか、まあ仕方ない解放、さあ飲んでこい! で飲みながら夕ご飯だよ」


「最高、蓮との生活最高、……くあーおいしい、染み渡るー」


「おじさんみたいになってるよ、ほらおいでご飯にしよう」


「するする、ご飯も美味しそう、作ってくれてありがとう、いただきます」


「はいいただきます」


二人で囲む食卓は毎日の二人の疲れを取っていくようだった。

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