第37話

美月はミスをして落ち込んだ次の日もきちんと出社して一日の仕事をやり遂げて帰ってきた。


「おかえり美月」


「蓮もおかえり。あとただいま。今日はなんとか一日仕事それなりにできたよ」


「頑張ったね、昨日沈んでたのに切り替えてよく頑張ってきた。偉いね、やっぱり美月は僕が惚れ込んだだけあるくらいに頑張り屋で素直だ」


「蓮が家に無事に帰ってきてくれたらそれだけでいいって言ってくれたから頑張れたの。先輩にもちゃんと謝れたし、過ぎたことだからもういいって言ってもらえた。自分がちゃんと見てなかったのもあるんだからそれ以上謝るなとまで言ってくれたの」


「それは何より。それに昨日僕が言ったことをちゃんと覚えててくれたのも嬉しいよ、今日も無事に帰ってきてくれてありがとう」


「蓮も。今日も無事に帰ってきてくれてありがとう。私、昨日蓮が言った意味今日分かった気がしたの。私、家で一緒にいてくれる蓮がいなかったらきっと頑張れない。きっと今日も一日頑張れなかった。

蓮が大事だから仕事も頑張ろうって思えるの。蓮のもそういう意味なのかな、蓮は辛いこと我慢してない?」


「そうだよ、僕も美月がいると思うから頑張れるし美月の隣に立ちたいから頑張り続けられるんだ。仕事はまだ始まったばっかりだから大変だけどただ大変ってだけで美月みたいに辛くてどうしようもないことはまだないよ。その時は美月が頼らせてくれる?」


「うん、頼ってほしい。蓮が毎日お仕事頑張ってるのも知ってるから、辛いなって少しでも思ったら頼ってほしい。そういうときに安心して帰れる先になってたい」


「僕と同じ気持ちだ、ありがとう。何かあったら存分に頼らせてもらうね」


「蓮は私から見たら今もう完璧なくらいで、そんな人に隣にいてもらえるのも大切にしてもらえるのも頼ってくれるのも嬉しいな」


「僕こそずっと美月を追いかけてきたんだから今大切にしてもらえるのが嬉しいし美月がそう思ってくれるのが何より嬉しいよ。完璧じゃないところも山ほどある、それでもいい?」


「完璧じゃないところが蓮にあるならそれこそそれを支えられるような存在になりたい。完璧じゃなくても、どこか弱い場所があっても蓮がいい、蓮だから隣にいたいの」


二人の生活は穏やかに、そして蓮にとっては夢のように続いていった。

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