第33話
「……え?」
美月からの返答は蓮にとって意外なものだった。きっと今自分は最大級に意外を体現したような顔をしているだろう。
「……だから、私と付き合ってほしいの。ずっとずっと蓮は傍にいてくれた。ずっと見ていてくれた。私はそれに気づかなかったけど、最近になってようやく気づいたの。
私は、蓮だったから頼れたんだって。蓮じゃない他の人に頼ろうとしてこなかったのは、それくらい自分の中で蓮が信頼できる人になってたからだって気づいたの。
諦めないでって、言ってくれたからこれまで何度も頑張れたの。それで諦めないでって言ってくれたから今度は諦めずに貴方を見たいと思ったの」
「僕で、僕なんかでいいの? いや、告白したのは僕なんだけど、でも四度も美月に失恋したんだ、まさか僕のことを見てくれるなんて思わなくて。夢、じゃないよね、本当に僕でいい?」
「蓮でいいかじゃないの、蓮がいいの。ずっと私の幸せを考えてきてくれた蓮と一緒に幸せになりたいの。
夢なんかじゃない、これまでずっと支えてきてくれた蓮に告白されて初めて自分の気持ちに気づいたの。幸せになってほしい、って言ってくれたよね。それを、私と一緒に叶えてほしいの。それでもいいですか?」
「もちろん、僕でいいならよろしくお願いします、絶対に幸せにする。絶対に浮気なんてしないし会う度喧嘩したりしない、美月の趣味だってプライベートだって尊重する、だから僕と付き合ってください」
「なんか過去の恋愛の傷に塩塗りたくられた気がする……でも、はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「よろしく、ありがとう」
「蓮泣きそうじゃん、もう仕方ないなあ」
「いやだって四年も片思いしたんだ、幸せでどうにかなりそうなくらいだ、ありがとう」
「私の方がありがとうだよ、ずっと見てきてくれて、私なんかの隣に並ぶために頑張ってくれて、勇気を出してくれて、全部全部ありがとうだよ」
やっと蓮に待ちかねていた日が、訪れた。
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