第30話

「蓮、先輩とお話ししてみたんだけどどうしても譲れないって、……このままの状態を飲めないなら別れようって、言われちゃった。私今でも先輩のことは好きだけど自分の趣味も譲りがたくて、どうしたらいいかな」


「それは僕が決めていいことじゃないよ、美月が決めることだ。


だって趣味を優先しろとか彼氏の言うこと聞くべきだって僕が言ったところでそれを心の中で整理付けられなかったら意味がないんだからさ。僕の言ったことが決め手になっちゃっても責任は取れないし。


ただ少しだけ言うとすれば、趣味を認めてくれた上で付き合い続けてくれる人もいるとは思う」


ーー僕みたいに。


「確かにそうだ、そこは蓮に甘えていいところじゃなかった。ごめん、話聞いてくれるから何でもかんでも甘えようとしてたけどそれは間違ってた。


自分の中で納得できるようにしないといけないんだもんね、そうだよね。……あと確かに私のままで付き合えて好きでいられる人がいるのかもしれない。それも踏まえた上で考えてみようかな」


「そうだね、もし決めたら教えてくれればどんな形でも応援するよ」


「ありがとう、しばらく考えてみるね」


その頃蓮はもう美月が幸せならどんな形であろうと応援するという意思を持っていた。

自分の気持ちよりも美月の気持ちを何より大切に考えていた。美月が自分で選んだ道なら、そしてできるなら美月が幸せになれるならそれで、それだけでいいと思っていた。


その相談の後から二週間ほど美月からの恋愛相談が来なくなった。美月は毎日のように自分と彼氏の気持ちのどちらを優先するべきかをぐるぐると一日中考えていた。



そういえば二人はどうなったんだろうか、と考え始めた頃にその答えは美月から返ってきた。

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