第23話
土曜日の夜、いつもと同じように美月に連絡しようとした。
だが全てのSNSから美月のアイコンが消えていた。
同じパートの女子に聞いてみれば「美月? 今日も連絡来てたし写真も更新もしてたよ」だという。
だとすれば自分だけがブロックされたということか。一体僕は何をしてしまったのか、皆目見当もつかない。ただ彼女から毎日のように来ていた連絡に返信していただけだし美月が更新したものにいいねしていただけだ。彼氏のことを悪く言ったこともないし彼女の気に障ることだって言っていないはずだ。少なくとも今日会ったときはいつも通りだったはずだ。
僕の何が美月を傷つけたんだ、どの瞬間だ、どの発言だ、どれが美月を自分の目の前から奪ったんだ。
いくら考えてみても答えは出なかった。
その日から一切美月から連絡が来なくなった。
それに気づいたのが合奏のある土曜日の夜だったため、次に会えるとしても個人練習に来るとして最速で月曜日、それに来なかったら次の水曜日だ。
その時自分が目も合わせてもらえなかったら。いつものように話しかけてさえくれなかったら。
美月のことだ、部活にとって必要なことは話してくれるだろう。でもそれ以外の、個人的な練習や趣味の話を一切できなくなったら。
友達でいることさえもう許してもらえなかったら。
そうしたらもう好きでいることさえ許されない。ただ自分がこれまで通りの気持ちを抱くことさえ、彼女の幸せを願って諦めることすら許されない。
せめて好きでいさせてくれ、もう彼氏になりたいなんて思わないからせめて好きでいる権利を奪わないでくれ。
蓮はできることならすぐにでも美月に会いたかった。
せめて明日個人練習にだけでも来てくれ。せめて明日その顔を見せてくれ。
いやでもそれがもう違う顔だったらどうしよう。今まで自分に向けていてくれた顔と違ったらどうしよう。
それでも早く会いたい、いやそれでも会うのは怖い。
ぐるぐると不安と安心したい気持ちが回っていく。
月曜日に部活に行くのだってもういっそのことやめてしまおうか、水曜日のパート練習も風邪を引いたとか適当な嘘をついて休んでしまおうか。でも。
ーーそうだ、何かの間違いだって事はないのか、こっちの側の不具合って事はないのか。そう思ってスマホを再起動してみてもパソコンから検索してみてもアプリを更新してみても美月のアイコンはもうそこにはなかった。結局何もできないまま月曜日が来ようとしていた。
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