第22話
期待もむなしく先輩が引退した後もその関係は続いているようだった。
「蓮、今日付き合って半年記念日で先輩にピアスもらったの! 私に似合うデザインお店の中ですごく時間かけて考えてくれたんだって、すごい嬉しい。これかわいいよね、やっぱりいろんなことがあったけど恋愛諦めなくてよかったな」
「今日ね、デートに新しい服とメイクで行ったらすぐに気づいてかわいいねって言ってくれたの。先輩によく見ててもらえてるんだって思えてすごく幸せな一日だった」
「今度の夜に先輩とご飯行くことに決まったの。ちょっと大人っぽいもの着ていきたいんだけどどれがいいと思う? あ、きっと前もらったピアス付けていったら喜んでくれるよね」
「前蓮と一緒に選んだ服で夕ご飯行ったらすごく大人っぽくて惚れ直したって言ってくれたの。一緒に選んでくれたおかげだよ、本当にありがとう!
それに先輩が連れて行ってくれたお店すごくおしゃれなイタリアンで緊張しちゃった、でも先輩がさりげなく自分のものと一緒にして二人分のお箸もらってくれたおかげでちゃんと最後まで綺麗に食べられたの。
そういうところがすごく優しくて気が利いてて先輩やっぱり素敵だなって思ったしご飯もすっごく美味しかった。お会計まで『俺に払わせて』って言ってくれてありがたく甘えさせてもらっちゃたの。
年一つしか変わらないのに先輩がすごく大人でかっこよく見えてまた好きになった気がするの」
「先輩いつも優しいし喧嘩にもならなくてすごく穏やかで愛されてるなあって感じるの」
二人の関係は順調に進んでいった。悔しくても、美月がやっと幸せな恋愛をできているのだと思うとそれに少し嬉しさを覚えている気さえして、指をくわえて待っていることしかできなかった。
毎日のように届く先輩とのやりとりと惚気話はどんどんと蓮を痛めつけていった。
そして、ある日、事は起きた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます