第18話

「浮気してるかどうかってどうやって調べたらいいのかな、定番だとスマホ見るとかそういうのになるのかな。……でも私が信頼されてなくて自分のスマホ勝手に見られてたらちょっと悲しい気持ちになるな、どうしよう」


そう言う美月の素直で生真面目なところに更に惹かれた。そんな相手にさえも美月は優しいままだった。


「そうだね、もし勝手に見たって知られちゃったら信頼なくしてそれこそ別れに繋がっちゃうかもしれないし」


「確かにそれもそうだね、でも心配ばっかりしているのもなあ……」


そう言う美月にそいつは絶対に浮気しているから、とは言えなかった。


彼女が彼氏のことを本気で好きで、だからこそ心配で、どこか本当は浮気されていることに気づきながらもそれをなんとか見ないことにして過ごしているとしたら。

その事実を美月に突きつけてしまうのはあまりに残酷だと思った。


大体彼女に一人で心配させておくことそれ自体がおかしい。彼女のことを好きでよくよく彼女のことを見ていれば、会った時に自分の彼女がいつもよりも曇った顔をしていることにはすぐに気づくはずだ。それに気づきもしていない、気づいていたとしても放っておいて結果的に彼女を一人きりで心配させているということは彼女のことが二の次三の次になっているということだ。


付き合ってさえいない僕が彼女に元気がないことを相談される前から気づいていたのに彼氏はそれにすら気づいていないのか、そう思うと腹立たしかった。

彼女のために、その隣に並ぶにふさわしくなるためにお前は少しでも努力したのか、少しでも彼女のことを想って何かしようとしたのか、そう問い詰めてやりたいくらいだった。


それでも彼女が一度は好きになって、好きだからこそ心配している相手のことだ。彼女にとっては大切にしたい人なんだ。悪くいうわけにはいかない。


蓮は相談に乗り続け、一度も彼氏のことを悪くいわなかった。

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