三度目の失恋
第15話
美月は蓮のことを男として殆ど見ていなかった。そして美月の周りには美月が「男」として認識できるような男は山のようにいた。
美月の恋が終わって一ヶ月も経たないうちに蓮は三度目の失恋をした。
次は誰かと思えば相手は同じ大学にすらいなかった。美月が中高から続けており、大学でも当然のように入っていた比較的緩いインカレのテニスサークルにいる近くの大学の男だった。
テニスサークルなんてよりにもよってなんでそんなに軽くて緩そうな場所から男を選ぶんだ、と思ってみてももうどうしようもなかった。
美月はあくまでテニスがしたくてテニスサークルを選んだ人間だったため、テニスのサークルの多くが”テニスサークルには遊びと飲みの方が多いところもままある”と言うことを知らなかった。そしてそのテニスサークルはそれでもテニスをまともにやっている人が多かった。
その時告白されたことも、そしてそれをOKしたことも蓮は最初に聞かされた。それが唯一の救いだった。
「ねえ蓮、私今は交響楽団メインで頑張ってるんだけど実はテニスサークルにも入ってたんだ、……それでね、今日そこの男の子から好きです、付き合ってくださいって告白されたの! 前蓮が諦めないでって言ってくれたから、ちょっと迷ったんだけど告白してくれたときにそれに応えてみようって思えたの。本当に蓮のおかげ。ありがとう、今すごく嬉しい」
ああ、こんなことになるならもうしばらくは様子を見て気持ちが落ち着いてからまた恋愛したくなったときにしたらいいんじゃないかと言っておけばよかった。
でも応援してしまったのは自分なんだから仕方ない、だってあのときそうやって言ってしまったんだから。じゃあまた応援するしかない、だって今美月の隣にいるのは自分じゃないんだから。
その人と幸せになってくれればもういっそ諦められる、せめて告白してきたのが美月と同じようにテニスがしたくて入部してきたやつであってほしい。
間違っても女捜しに来たようなやつじゃないといい、簡単に浮気するようなやつだったら言語道断だ。美月を泣かせるようなまねをするような男じゃなければそれでいい。
三度目の失恋ともなればもう蓮は諦め気味になっていた。
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