第11話
そうして話して一ヶ月が経つ頃、どんどんと二人は親密になっていてようやく恋愛の話ができるような関係になっていた。
「そういえば美月すごいもててるけど彼氏とかいないの?」
「くっ……痛いとこついてくるなあ、前SNSから写真消したのって知ってる?」
「ああ、なんか投稿数減ってたような気がする」
本当はその日のうちにしていたがそれを言うと自分が監視しているような気にさせるんじゃないかと思ってごまかした。
あくまで仲のいい友達として接するならこれくらいの距離感がベストだろう。
「……実はね、その消した写真に載ってたのが元彼だったの。高校生の時から付き合ってて、で遠距離になっちゃうのも分かってて一緒にいたはずなんだけど段々辛くなってきちゃって、でそれが相手も同じだったみたいで。それでまたお互いに相手を見つけようねって言ってお別れすることになって。でもそれからはずっと独り身なの」
「独り身ってこれからずっと一人で生きていくような言い方するじゃん。大丈夫、美月すごい優しくていい子なんだからまたきっといい彼氏見つかるよ、案外そういうのって近くにいたりするって言うじゃん」
自分が見ている、傍にいる、という勇気はまだ出なかった。
「それもそうだね、ずっと落ち込んでてもいいことないもんね。案外近くにいる、かあ。確かにそうなのかもしれないなあ。ちょっと励まされたかも。もうちょっと恋愛に前向きになってみようかなあ」
「恋愛しなくても幸せにはなれるだろけどできたらきっと楽しいだろうしそっちの方が幸せだと思うよ、応援してる」
応援してるはさすがに自分のことを遠ざけすぎたかな、とも思ったが一度出てしまった言葉を取り消すことはできなかった。
「応援された!」
そしてその言葉でいよいよ言ってしまったことの取り返しがつかなくなった。
今なら弱みにつけ込むこともできるかもしれないがそんな卑怯なまねはしたくなかった。
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