第10話
二人で自主練習していくうちにどんどんと距離が縮まっていった。
「ここはもう半音低いと思うよ、ほら楽譜フラットついてる」
「あ、ほんとだ。自分のことばっかり意識してると今度は楽譜の方に意識が向かないな、一緒に練習してくれる蓮君がいてよかった」
「いやいや、美月さんだって僕が音間違えてるところ指摘してくれたじゃん。それで先週の合奏までにそこ直せて先輩からも褒めてもらえたし、やっぱり一人で練習してるのと全然進み方が違う気がする。僕の方こそ美月さんが一緒に練習してくれるようになってすごい助かってるよ」
「そう言われると嬉しいな。……あ、最近思ってたんだけどもうさん付けじゃなくていいよ、呼び捨てで。せっかく仲良くなれた気もするしそっちの方が嬉しいかも」
「え、いいの? じゃあ美月で。僕のことも蓮でいいよ、呼び捨てで」
「蓮、ちょっと照れるね。よし、これからこれに慣れよう」
二人で練習したときは家の途中まで二人で帰るのも恒例になっていた。
「でね、そのバンドの演奏がすっごいかっこいいの! まあ交響楽団みたいな伝統ある格式高いような演奏じゃないけど、それでも音楽始めてから他のジャンルの音楽にもすごいコードがあることとかに気づいちゃってね、楽しくて楽しくて」
「あー、それ分かるかも。そのバンド僕も好きだよ。なんか天才過ぎるって感じ、どこからそんなメロディーもってくるのか分からないのに毎曲ごとに更にすごいを更新していってる感じ。好き嫌いが分かれてるらしいけど僕は好きかな」
「え、蓮君も……ちがった、蓮も好きなの?! そうそう、ほんとに分かるそんな感じするよね、かっこいいこれ以上ないって思ってたはずが次の曲も想像以上なの」
「わかるわかる、想像してたのよりずっといいしアニメの主題歌とかもなんでそんなにアニメの中の世界を表現できるんだって言うような歌詞だし、アニメ見てれば見てるほど歌詞聞いてぴったりだって思うし」
「え、もしかして最近やってるあのアニメ見てる? すごい私達趣味合うね、その曲の歌詞もすごいなって思ってたけど周りに見てる人が全然いなくて語れないなって思ってたの」
「じゃあ毎週木曜日はアニメの話ながら帰ろ、僕も周りに見てる人いなくて語りたいのが溜まってたから嬉しい」
「そうしよ、やったまた楽しみ増えちゃった」
部活外でも二人の距離は縮まっていった。
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