第7話
それからもしばらく”高校からの彼氏”との関係は続いているようだった。
SNSには日々メッセージアプリの履歴や寝落ち電話した、というコメントが載っていた。
自分は部活とその前後の数十分しか彼女に話しかけることができない。それなのにその彼氏と言ったら彼女のことを毎日のように五時間も六時間も独り占めしているのか。
メッセージだって自分のところには主に部活の相談しか来ない、たまに趣味の話ができる程度だ。それなのに彼氏は毎日のように美月と自分の話だけをしているというのか。
そう思うと羨ましかった。
自分はこんなに貴方に惹かれているのに、美月はその気持ちに気づくことすらない。
高校か、もしくは中学か、その関係が始まったのはいつからなのかなんて分からない。
でも二人はきっと辛かっただろう受験期を乗り越えて、遠距離恋愛になって尚二人でいることを選んだのだ。
長いだろう付き合いの仲でお互いにその性格をよく知って、きっと浮気したり他の人に惹かれたりなんてしないと思って信じて遠距離の恋愛を受け入れたんだろう。もしかしたら二人とも不安はもっているのかもしれない、それでも相手のことを信じてその不安を乗り越えようとしている。
じゃあやっぱり自分に勝ち目なんてなかったんだ。
だって僕はただの部活仲間で、もう既にいる彼氏の座を狙えるようなポジションにはいなかったんだから。
美月が、好きなあの子が幸せでいるならもうそれは仕方ない。自分にはその幸せを願うことしかできない。
悔しくても仕方ない、だってあの子が見ているのは僕じゃないんだから。それなら僕にできることは応援することだけだ。
でもそれならせめてよき友人として傍にいさせてほしい。そう願った。
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