第23話 イベント

夏休みがやってきた。といっても私は部活で、割と忙しい。

だけど、休みの日もある。ということで私達は、ショッピングモールにやってきた。


「今日はみそふぁみのみんながやってきてくれたよ!!」


わああ、と子どもたちの歓声が上がる。私もグッズを振りかざし、声を上げた。

萌華、巡流、睦月と4人で参加したこのイベント。小さい子たちから私達と同じくらいの歳の人まで参加している。


「みそふぁみのみんなとゲームをしよう!まずは、じゃんけん大会!」


これに勝てばグッズがもらえる。みんなごめんね、私が絶対に勝つから。


「最初はグー、じゃんけんホイ!」

「うわ、負けたー!」

「あいこって負け?」

「負け」


早速睦月と萌華がリタイア。でも私は全然大丈夫。残っている。


「あいこで、ホイ!」

「あ、勝った」

「巡流も?」


そして何回かやって、残り2人になってしまった。


「美麻、頼んだよ」


私は壇上に上がり、小学生くらいの女の子と勝負になった。正直メンタルがちょっとキツイ。


「アオ、頑張れ!」


……アオ?

ふと客席の方を見ると、山越くんらしき影が一瞬見えた。


なんでここにいるの!?


「最初はグー!!」


私はチョキを出した。そして、相手はグー。


「やったー!」


負けた。負けてしまった。

目の前で彼女にグッズが渡っていくのを見て、私は黙って戻るしかなかった。


「筒井さん!」


戻る途中、山越くんが私に声をかけた。


「一緒に、見ない?」


どうしよう。睦月たちがいるし、山越くんに合流するのも……。


「おねえさん、さとの友達?」

「え、うん」

「となり来て!」


有生ちゃんが満面の笑みで言う。……あとで睦月たちには謝ろう。


そして私は、山越くんと有生ちゃんと共にイベントを楽しんだ。


「「とうふちゃん!!」」


とうふちゃんが出てきた時、私と有生ちゃんの声は揃った。


「息ぴったりだね」

「とうふちゃんかわいいもん」


有生ちゃんに全面的に同意。さすが山越くんの妹、よく分かってる。


「だいこんちゃんも出るかな?」

「北海道のイベントには出るって」

「北海道……今からじゃ飛行機のチケット取れないよね」


私ですら立てない計画を練っている山越くん。どれだけだいこんちゃんが好きなんだ。熱量に尊敬の意を感じる。




そして、イベントが終わり。


「このあとは物販です!」


そこで私はようやく睦月たちと合流した。


「山越くんがみそふぁみのイベントにいる……」

「その子妹?かわいい!」

「誰推し?」

「とうふちゃん!」

「美麻と一緒じゃん!?」


3人とも私をそんなに見ないで欲しい。本当に偶然だよ。そもそも有生ちゃんとは今日初めて会ったし。


「山越くんもついてくるぐらいだし結構みそふぁみ好きなんでしょ」

「こないだゲーセンの前でガチャ回してたよ」

「さとは私のためにぬいぐるみ取ってきてくれたの!」

「うわ、いいお兄ちゃん」

「美麻知ってた?」


知ってるよ。だってそのときいたもん。苦戦してたのも知ってる。


「筒井さんも一緒に取ったよね?」

「待って美麻ドユコト??」

「いや、たまたまね」

「有生、この人が話してた、筒井美麻さんだよ」

「美麻さん!」


露骨に反応する山越くん。なんで山越くんのほうがびっくりしてるの。


「すっかり懐かれてますな」

「そのまま両親に挨拶行け」

「じゃあ私達はこれで」


そのまま睦月たちは去っていこうとする。ちょっと待ってよ!?

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