第19話 変な店

「筒井さん、これ見て」


ある休み時間、私に見せてきたのは1枚のカード状のなにか。


「変わった形だね。なにそれ」

「これ一つでものの長さを測ったりお菓子の封を切ったりできるんだ。マルチツールって言ってね、この前変な店で100円で売ってたんだ」


あの山越くんが変だという店。すごく気になる。


「そこでは着けると色が変わる指輪が2つ100円で売ってた」

「買ったの?」

「もちろん。面白そうだったからね」


それっていわゆる在庫処分品を売ってるところでは。


「二股の虫取り網も売ってたけど、見た目が気持ち悪かったからやめた」

「本当に変なものがたくさん売ってるんだね」

「あとさ、僕の身長よりも大きな十字架も売ってた」

「それいくらするの?」

「20万円」


絶対いらない。熱心なキリスト教徒しか買わないでしょそんなの。


「妹はよくわからない人形を買ってたよ。300円で売ってたから」


山越くんが買ってるもののほうがよくわからないけどな……。指輪2つって誰かと結婚でもしたの?


「その店はどこにあるの?」

「駅の裏に商店街あるでしょ?その肉屋さんのところを左に曲がってすぐだよ」

「家族で行ったの?」

「ううん、妹と2人。この前テレビでやってて行きたいって言ったから」

「山越くん、指輪2つってどうするの?」

「内緒」


そこは教えてくれないんだ。妹とお揃いにするのかと思ってたんだけど。


「今度は電車に乗って変な店巡りをしようと思ってる。筒井さんも来る?」

「……考えとくね!」


ちょっと楽しそう。でも私と山越くんと妹ってよくわからない組み合わせすぎない?

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