第14話

sideヒュー





傷も塞がり、準備も整った。ヒューはエルと街を発つことにした。馬小屋で見ていてくれていたホスは毛艶も良く体調も万全なようだ。馬小屋の主に礼をいい謝礼を渡す。

エルを捕まえに、追っ手が来ることもなかった。この街の人間はエルフに対して好意的なようだ。それはリゴとリゴの娘の力が大きかった。


初めてここを訪れた日、エルを見つけて捕まえようとしていたのはリゴの娘の夫だったそうだ。リゴの娘の宿のカウンターで鉢合わせて気づいた。

『あっ、あの時の!本当に、エルフが…』

エルはその声を覚えていたようだ。彼の声に怯えるエルを引き寄せると、リゴの娘が飛んできた。

『本当にエルフが、じゃないよ。宿泊してるって言ったでしょ。お客様よ。どうしてエルちゃん、こんなに怖がってるの?』

理由をエルがリゴの娘に伝えると、リゴの娘はカウンターを蹴り飛ばした。

『この子を引き渡して、エルフがどんな目に合うかわかってたよな?そんな真似して、どの面下げて子供に会おうとしてたんだよ。あぁ!?』

リゴの娘のあまりの剣幕に、ヒューはエルを抱きしめたまま固まった。エルもヒューの影に隠れるように身を寄せてきた。

土下座をする夫に、『謝る相手が違ぇだろ!』とリゴの娘がまた怒鳴る。謝る夫に、エルは気にしていないと声をかけた。エルがリゴの娘をなだめすかして、なんとかその場はおさまった。

リゴの娘の夫から聞いた話だが、エルフを捕まえたら報奨金が出るという勅令が出て仲間と共に探していたという。半信半疑だったが、エルを見て確信に変わったそうだ。ただ、あれから時間が経ったこととエル以外のエルフを見かけないことから、彼は諦めていたらしい。

広い街なので全ての人間がエルフを諦めたわけではないだろう。ヒューは早々に街を出ることに決めた。はやくエルフの国に連れて行ってやりたい。それに、ルフとチルのことも気がかりだ。エルも気になっていたらしい。二人の名前を出すと表情が変わった。

『二人に会いたい。でも、ヒューの体がちゃんと治ってからじゃないと、駄目だよ』

ぐっと右腕にしがみつくエルが、とてもいじらしいとヒューは思う。エルは自身のルフとチルに対する心配よりもヒューの体を優先し、案じてくれている。

確かに手負いのままでオークにでも出会ったら闘いは厳しいものになる。旅の準備を進めつつ、ヒューは体を休めた。

そんな中、リゴからリゴの娘の夫は果樹園を管理しているのだと聞いた。リゴの店の林檎は全てその果樹園のものだそうだ。エルはリゴの娘の夫から林檎の樹の育て方を聞いていた。

『もうエルフの国に、林檎を育てられる人がいないから』

エルはエルフの国の林檎がもっと美味しくなると喜んだ。

『エルちゃんは本当に、頑張り屋さんだねぇ…林檎、好きなだけ持っていきなよ』

旅に必要な林檎はリゴがサービスだと持たせてくれた。

ここは優しい人の多い街だ。

「エルちゃん…道中気をつけてね!またおいでね!」

「ありがとう、リゴさん。林檎、大事に食べるね!」

「次はこの子に、会いに来てね」

「あぁ。色々世話になった」

「林檎の世話、忘れんなよ!」

「うん!教えてくれて、ありがとう!」

「ヒュー、くれぐれも傷が開かなように気をつけてね。ちょっとでいいから、雄っぱいに顔を埋めさせてほし」

「ドク、本当に助かった。だが断る。行こう」

「うん!みんな、またね!」

名残惜しいが、ヒューはホスを走らせて街から遠ざかっていった。エルは長いこと街に向かって手を振っていた。



まずはルフとチルがいるであろう騎士団の宿営地から見て周る。あれから日数が経った。ルフとチルは移動しているかもしれない。しかしそうなると、居場所を見つけられるかわからない。少しでも早くとホスを駆ける。途中、別の騎士団の宿営地に立ち寄り休みを取った。荒らされた形跡も誰かが訪れた気配もなかった。

ベッドに横になり、ヒューは改めてエルに問う。

「先に、エルフの国に行かなくていいのか?」

「うん。チルとルフが気になるから。エルフの国は、その後でいいよ」

ヒューは頷いて、考える。

ヒューはエルをエルフの国に送り届けて、ルフとチルを安全な場所へ連れて行ったらこの国を出るつもりだった。ここではないどこかならどこでもいい。いっそもうこの生を終わらせてしまおうか。そんなことを考えていた。

しかしエルはヒューと一緒にいると行ってくれた。遠くへ一緒に行くと。あの世にエルを連れて行くわけには行かない。今はまだ、ヒューは生きなければならなくなった。




翌日からまたホスを駆けて宿営地を目指す。数日かけてルフとチルに伝えた宿営地についた。

いつも通りヒューが先に宿営地を偵察に行く。そのためホスとエルに待っていてもらう場所を探していたが、エルはくったりとホスに伏せてしまった。

「どうした!?」

「あ…体、が…きっと、ルフ、が、いる…」

エルの体調が悪くなったのは、宿営地から恐らく500メートルほどの距離まで近づいた場所だ。先日は王の玉座の室内で5メートルほど距離を開けていれば大丈夫だった。日が経つにつれて干渉する距離が伸びてしまうのだろうか。

エルを離れた林の木陰に隠れさせてヒューは宿営地に向かった。中から音は聞こえない。入り口から中に声をかけた。

「ルフ、チル。いるか?」

「……ヒュー、さん?」

中から顔を覗かせたのはチルだった。ルフは無事かと聞く前に、チルの背後にルフが立った。

「エル様はエルフの国に戻ったんだよな?誰か、エルフを連れてきたのか!?」

「待ってルフ、僕、伝えるから」

ルフはチルを背後から抱き、ヒューを睨みつける。

ヒューはルフの言葉が聞き取れた。街にいた時からエルフの言葉をエルに教えてもらっていた。今までもお互いの言語を教え合っていたが、ますます語彙が増えたようだ。

チルが口を開く前にルフに答える。

「遅くなってすまなかった。エルが、外にいる」

「なんでだよ!エルフの国に連れて行ってくれるって…」

「連れて行った。エルフの国に、呪い師が来た。ヤツは生きていたようだ。呪い師に俺が傷つけられて、街で治療を受けた…街へはエルが、連れて行ってくれた。呪い師はエルフの国で死んだ、はずだ」

ヒューは腹を見せた。もう包帯もなく抜糸もした傷口は閉じているが、まだ新しい。ルフは片手で口を覆った。

「呪い師…あいつ、生きてたのか…だから、操れなかったのか」

ルフはショックを受けている。呪い師を操れず、騎士団の遺体を使って堀に捨てたと聞いた時に、ヒューの頭には呪い師は生きていたのではないかとよぎった。堀に落ちたのなら命はないだろうと思ったが、甘かった。片手を落とした騎士団の男もヒューを追って村に来ていた。彼等の執念は一体どこから来るのか。

チルがルフを振り返り、その背を抱いてやっていた。

「大丈夫?ルフ。すごいですね、ヒューさん。ルフと、お話してる」

「エルフの言葉を、エルが、教えてくれた。俺と君は、この言葉でなくても話せる。あれから、すぐにここに来れたか?誰か来なかったか?」

「ふふっ、そうですね。でも、ルフにも聞いて欲しいから…はい。クリのお陰ですぐにたどり着けました。誰も訪ねてくることもなくて。城からの食料と、外に井戸もあるので問題なく過ごせました。僕達、このままここにいて良いのでしょうか」

チルはルフを抱きしめてなだめながらヒューと話をした。ここは騎士団が管理していた場所なので旅人はもちろん魔族であるオークもゴブリンも寄ってこない。エルフを襲うオークも近寄らないここは過ごすのにちょうど良いだろう。

ただ、いつまでも誰も来ないとは限らない。ヒューが来るまでの間二人を守ってくれたこの宿営地だが、いつ人間が来るかわからない。城は王も騎士団もいなくなった。他国の人間が征服しに来るかもしれない。その時に国の騎士団の宿営地であるこの場所は危険だ。

「このまま誰も来ないとも限らない。エルフを連れていけば懸賞金がでるという勅令も出ていたそうだ。ルフも危ないと思う。別の場所に移れるといいんだが…なるべく人里離れた場所に…」

ヒューは考える。ヒューが使う宿泊施設は騎士団の宿営地か宿屋だ。城までの大きな道沿いには宿営できる小屋もいくつかあるが、そこは旅人が入れ替わり立ち寄る場所で人目につく。

ルフとチルの過ごせそうな場所か浮かばない。ルフはため息をついた。

「しょーがねぇ、チル。もしも誰かがきたらクリで逃げよう。動物の死骸使って盾にするんだ。どっかで住めるとこ探………あ」

「どうしたの?」

ルフは何かを思い出したようだ。しかし表情が暗い。

「エルフの国の周りの森のはずれに小屋があった。よく、そこで遊んだ。住むには修理がいるけど」

「エルフの国の周り…エルフの国から見てどちらの方角だ?」

「西だ。でも、もっと、エルフの国の近くに…」

ルフが縋るようにヒューを見た。ヒューは迷ったが、ルフを窓に呼び林を指差す。

「見えるか?あそこの馬に乗っているのが、エルだ。もっと手前の、赤土の場所でエルの具合が悪くなった。しかし、エルフの国の周りの森はこれよりずっと距離がある。たぶん、しばらくは、大丈夫だ」

エルからヒューとルフの姿は見えていないと思う。しかし馬に乗るエルの姿が薄っすらと確認できる。ルフはぐっと息を呑んだ。

城にいた時よりも近づいてはいけない距離が伸びている。これがどこまで伸びるかわからない。ますます仲間のエルフには会えないだろう。ひどい提案をしてしまったかもしれない。少しの沈黙が、室内に流れた。

「…わかった。あの小屋に向かう。あんたはもういいよ。エル様が待ってるんだろ。早く行ってくれ。チル、落ち着いたらクリと出発しよう。一緒に、来るよな?俺にはもう、お前と、クリしか…」

「うん、行くよ。でも、死体を使う力を使うのは良くないよ」

「わかってるよ。万が一の時だけだ。クリがいれば逃げられる」

「そうだね…大丈夫だよ。僕はルフの傍に、いるからね」

ルフとチルは強く抱き合って話し合っている。二人は恋人同士なのだろうか。ヒューは気恥ずかしくなって視線をそらす。しかし気になることがあって二人に聞いてみた。

「クリ、とは、なんだ?」

「馬だよ。アンタが乗ってけっつったんだろ」

ヒューの問いに、ルフが呆れ気味に答えた。先程から何のことかと思っていたが、クリとは栗毛のあの馬のことらしい。名前をつけるほど可愛がってくれているようだ。

「そうか…そうだな。クリの足ならきっと逃げ切れる。道中気をつけてくれ。これからもう一度、エルフの国に向かう。エルは必ず、エルフの国につれていく」

「あぁ。エル様を、頼む」

「ヒュー様も、お気をつけて」

ヒューは宿営地を出た。二人は城にいた時よりも仲が良くなっているように思えた。強気な口調で話すルフだが、とても寂しがりな性格のようだ。チルに甘えているように見えた。チルも嫌がっている様子はなく、愛情に満ちた瞳でルフを見つめていた。まだ幼く少し心配な二人だが、支え合って今過ごしているようだ。エルフと人間なのに。

『エルフと人間は、駄目って、読んで…』

エルはリゴの娘に言っていた。ルフとチルはいいのだろうか。エルと自分は駄目なのだろうか。

ヒューは頭を振ってエルの元へ急いだ。




ヒューはホスに乗り別の宿営地を目指す。ルフとチルの様子を伝えると嬉しそうにエルは笑った。

「良かった。ルフもチルも、無事だった。それに、仲が良さそう」

ふふふ、と声をあげて笑うエルは本当に嬉しいんだろう。まるで自分のことのように喜んでいた。

「でも…エルフと、人間が、その…仲良くしていいのか?恋人、同士で」

「チルはあんまり言うことを聞かない子だったから…その小屋も、僕知らなかった。国を出ちゃいけないのにルフったら、抜け出してたんだね」

呆れながらもエルは楽しそうだ。エルフと人間の恋は反発心で無視しても良い程度のものなのだろうか。

ヒューは自嘲した。

リゴの娘の宿でリゴと娘との会話を思い出した。二人はどんな出会いだったのかと聞かれたときだ。

『あの…ヒューが…あの、ぼくを、まもる、してくれて、ずっと…エルフの国、から、ずっと…』

『エルフの国から?』

『イケメンはエルフの国に行ったのかい?なんでまた…』

『ヒュー、騎士団、で、ぼく、あの、エルフ、つかまえに、きて』

『捕まえに行って惚れちゃって攫っちゃったのかい!?やるじゃないかイケメン!』

『さすがイケメンだね!やることが違うじゃないか、いいね!もっと聞かせなよ!!』

『あ、ちが、ちがう、くて』

ヒューがエルを連れ出したのは、エルフ達がエルを追ってきたからだ。彼女達はなにか勘違いをしている気がする。ヒューは俯いて顔を赤くしていた。

『違うぞ。そんなつもりじゃ…』

『何がちげぇんだって、全部ゲロっちまいなよ。こちとらな、アンタを心配して腹痛めたんだよ。臨月舐めんじゃねぇぞ?な?』

リゴの娘に言われてヒューは今度は青くなった。リゴの娘がとてつもなく怖かった。それ以上に、ヒューは本音を伝えておくべきかとエルを見た。

『エルは怒ると思うが、俺は…エルが、子供に見えてしまう。まだ幼い、小さな子供だ。子供にそんな感情を抱くことは…できない』

エルはムッとしていたが、最後は少し悲しげな顔をしていた。

『僕、大人だよ。ヒューのこと、好きなのになぁ…』

あんなことを、言わないほうが良かった。エルを悲しませてしまった。

「エルも、ルフも、大人だ。俺よりも…チルをきっと守ってくれる。チルもルフを支えていた」

「ふふっ!そうだよ。僕達長生きなんだから。ねぇ、ヒューって何歳なの?チルは?」

「俺は22だ。チルは…」

城で聞いたチルの年齢も伝えるとエルは目を見開いて口を魚のように開閉しながらヒューを見上げてきた。しばらくパクパクして、やっと言葉が出てきた。

「ふっ、二人、共…そんな、幼いの!?産まれたてじゃないか!」

エルは裏返った声で叫んだ。チルの年齢はともかく、ヒューの年齢は妥当だと思う。しかし100歳のエルから見たら22歳は赤子も同然のようだ。正直ヒューには不本意な驚きだった。エルから子供扱いされている。年齢差はどうしようもないが、なんだか悔しい。

「いや、22歳は成人もしているし大人だぞ」

「んぇーっ?でも、22歳でしょ?エルフだと子供だよ。チルなんて赤ちゃんだよ!ふわぁあ…ショック…びっくり…」

エルはそれから何も言わなくなってしまった。放心しているようだった。それだけヒューやチルの年齢は衝撃だったようだ。

22歳はエルフだと子供だそうだ。子供扱いがこんなに傷つくとは。ヒューは口を尖らせる。今エルとヒューの百面相を見ているのは、広がる草原だけだった。




数日をかけて再びエルフの国に戻ってきた。入り口には朽ちた呪い師が倒れていた。

「谷に落とすか」

ヒューの提案に、エルは青ざめて首を横に振った。

「だ、だめだよ…人間は、死んだ人を、どうしてるの?」

「埋葬…土の下に埋める。あとでどこかに埋めてくる」

ヒューは呪い師の体を抱き上げ、エルフの国の外、橋の手前に置いた。あとでどこかに埋めに行く。振りをして、念の為、谷に落とそう。

振り返ると、エルフ達の姿が見えた。エルを遠巻きにして見ている。

「僕がいない間、変わったことはなかった?」

「…ありませんでした、エル様。どうしてまたその男を連れてきたのです」

「ヒューは僕を助けてくれた。ここまで連れてきてくれた。お礼にここで暮らしてもらおうと思ってるんだ。ヒューはもう行く所がないから。いいよね、ヒュー」

エルフに向き合っていたエルはヒューを見た。冗談を言っているのかと思ったが、エルの表情は真剣だった。

「何を言っているのです!人間がここで暮らすなんて…!」

「エル様、考え直してください!絶対に、駄目です!」

エルフ達が5人、エルに考え直せと詰め寄っていた。他のエルフ達は遠巻き見ているが困惑しているのがわかる。

当然だ。この国を襲った騎士団の一人であるヒューを受け入れるはずがない。わかっていたことだ。ここにヒューの居場所はない。

「いやだ!ヒューはここで暮らすんだ!ヒューはエルフの国を守ってくれる、ルフのことだって!だから、いてもらう。次期国王の僕が、そう決めたんだ!」

「エル様!!」

エルフ達とエルは言い合いをしている。止めたほうがいいのだろうが、ヒューはエルの発言に驚きを隠せなかった。エルは『次期国王の僕』と言った。そんな話は聞いたことがない。

エルはヒューの腕を取った。

「え、エル、待ってくれ…エルは、エルフの国の、王様、なのか?」

「うん。僕、次の王様なんだ。だから安心して。きっとみんなにわかってもらうから。だから、エルフの国にいて。お城に行こう。僕ね、お城に住んでるから。みんなとも話をさせて。ルフのことも…」

エルは中心にある背の高い建物を指差した。エルと初めて出会った場所だ。人間の国の城に比べてると質素だが、他の建物とは違ってしっかりとした作りをしている。

ヒューはエルに腕を引かれながら歩いた。エルはヒューの腕に絡みつくようにくっついていた。振り払おうにも、エルの縋るような瞳を見て、できなくなってしまう。

戸惑うエルフ達の中を歩いて城に入る。室内はあの惨劇がなかったかのように綺麗になっていた。

「ヒュー、疲れているのにごめんね。もう少し、休むのは待ってほしいんだ」

「あ、あぁ…」

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