第6話 カラオケスナック奈美さん

 今夜は、カウンター席に一人の女性が座っています。

 「いらっしゃいませ。 よしくん。 こちらカラオケスナック奈美さん」

と、いっこが紹介すると、奈美さんは、

 「いつも、いっこをご贔屓に。 カラオケスナック奈美もよろしく!」

愛嬌のある顔立ちでも、美人です。

同じサンロード商店街でカラオケスナックを経営しているママさんとのことです。

奈美さんは、サンロード祭りのイベント役員をしているので、そのことについて来ていたのでした。

よしくんが、奈美さんの隣に座ると話が始まりました。

 「ほら、昔、ローラースケートって流行ったじゃない?」

と、奈美さんが言うと、いっこが、

 「光GENJI?」

 「そうそう、それ、ローラースケートのアクションチームを招いてパフォーマンスしてもらうの!」

奈美さんは、のりのりです。

よしくんは、昔、イベントのバイトをしたことがありました。

 「サンロードを、道路使用許可を取って歩行者天国にして、そこでパフォーマンスしてもらうのはどうかな?」

いっこも楽しさを抑えきれないようです。

 「道に寝た5人ぐらいの人の上をローラースケートで走って来て飛び越えたり?」

奈美さんは、

 「ローラースケートを履いてタップダンスみたいに踊るパフォーマンスは楽しいわよ、絶対に」

よしくんも、記憶を頼りに、

 「ローラースケートのパフォーマンスのためには、 地面にコンパネを敷かないといけないね。 それと、 音響の仕込みも必要だ」

3人の話しは、尽きません。


しばらくして、奈美さんは帰りました。

いっこは、にこにこして、よしくんに言います。

 「奈美さんは、いっこがお店を始めたときから、いろいろ相談にのってもらっているの。 奈美さんは、このサンロード商店街を盛り上げるために一生懸命なの」

よしくんは、

 「僕に出来ることは、お手伝いするよ。いっこの為に」

よしくんは、まさか、この神戸でイベントの手伝いをするとは考えてもいませんでした。

47年間には、いろいろありました。

いっこの47年間は、どんなだったのだろうか?

過去も知りたいけど、今、こうして、これから先を見つめて、何かを始めることは素晴らしい事だと思わずにはいられなかったのでした。

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