第3話 カラオケスナック いっこ
新開地駅から神戸電鉄の粟生線に揺られて緑が丘駅に着いたよしくんはサンロードを歩きます。
そして、よしくんは、これから毎晩通うことになる『カラオケスナック いっこ』の電光看板を見つけました。
よしくんは、恐る恐る玄関ドアを開けます。
カラン、カラーン。
「いらっしゃいませ~、 よしくん!」
いっこママの明るい声に出迎えられました。
お店は、さほど広くなくカウンターとカウンター席5つです。
カウンター内には、いっこが一人です。
そして、お客さんも、よしくん一人だけみたいです。
いっこは、既に酔っているのでしょうか、ごきげんです。
「よしくん、 水割り?」
よしくんは、いっこママに圧倒されてしまいます。
「よしくん、 ボトルキープしようね」
いっこは、キープしたウィスキーで水割りを作ります。
よしくんの前にコースターとグラスを差し出しました。
「それでは、 再会を祝して、 かんぱーいっ」
よしくんもグラスを上げて、
「かんぱーいっ」
いっこの作る水割りは濃いのでよしくんは、すぐに酔いが回って来ました。
良い気分のよしくんは、
「いっこは、いつからお店しているの?」
と、何気なく聞いてみました。
すると、
「あっ、 そうだ。 今日、 鰈の一夜干しが手に入ったの。 よしくん、 魚好きでしょ?」
よしくんは、魚介類が好物なので、
「いいねぇ、 食べたいよう!」
と、声高々に喜びました。
そして、いっこは、カウンタ奥の厨房へ入ってしまいました。
よしくんは、考えました。
いっこは、過去を話したくないのかなぁと思いました。
よしくんだって自分の過去なんていっこには関係ないのだから聞くのはやめました。
「はい、 どうぞ。 お腹減ってたら、 おにぎり食べる?」
と、言ってくれました。
いっこは、椎茸と揚げの炊き込みご飯を炊いて、おにぎりにしていました。
まだ、お店の常連さんでも無いよしくんは、家庭的ないっこが本当に嬉しかった。
でも、常連さんになっていっこの過去も折々知りたいと思うのでした。
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