一寸だけ法師

キリン

じゃあ……入れるね……っ

 瓦の辺でひっそりと暮らしていた老夫婦の間には子どもがいなかった。

 ある時二人は住吉の神に祈りを捧げ、自分たちに子どもをくださいと手を合わせていた。 

 「おねげぇします……オラたちに子を……」

 「なにとぞ、なにとぞ……」


 そんな老夫婦を哀れに思ったのか、その日の夜のうちに老婆は腹のあたりに違和感を感じ……なんと、日付が変わるより前に子どもが生まれたのである!


 おぎゃあ、おぎゃあ、可愛い産声が響く。

 だが。


 「なんじゃあ、こいつは……」


 爺さんは顔をしかめていた。何故か、それは生まれてきた子どもがあまりにも小さく……一寸ばかりしか無いような身体しか持っていなかったからである。

 それを見た婆さんは、生まれてきた我が子の頭の天辺から下へ下へ……そして、股間のあたりを見て。


「ちっさ」


 そう、一言。

 最早あるかどうかも分からない”それ”は、しかしたしかに有った。


 こうして今宵、一人の小さな小さな男児が生まれた。

 その名を一寸法師。かろうじて、かろうじて可愛らしい珍針を股間に引っ提げた、一寸ばかりなる男の子である。


 






 ◇



 「お父様お母様、僕は都にて武士になりたく存じます」


 ある日、一寸法師はそう言って駄々をこねにこねた。老夫婦は必死にやめるよう説得したが、話していくうちになにか固い意志を感じ……ついには逆に丸め込まれてしまった二人は、一寸法師に刀代わりの針一本と、川から都に向かうための船代わりにお椀を授けた。


 「それでは、行ってきます!」


 微笑ましく手を降る一寸法師との別れを惜しみながら、老夫婦は静かに流れていくお椀を見守っていた。


 「うーん、いい天気だなぁ」


 川の流れは穏やかだった。溺れる心配も船がひっくり返る心配もない。

 そして何より一寸法師は喜びに震えていました。ようやく侍になれる、武士になれる……ああ、これでようやく、ようやく……!


 「若い女の子がいっぱいいる街に行けるゾ〜!」


 はい。

 そういうことです。

 このチビドスケベぇ、実は昨夜のおじいさんとその友人の会話を盗み聞いていたのです。


 『都にはぱいおつがデカいおなごがわんさかわんさか!』

 『なぁにケツもいいぞぅ! うへへ、若い頃の婆さんそっくりじゃ!』

 『ぷるりとした唇もええのぅ……わはは、あそこも同じようにぷるぷるなんじゃろう!』


 一寸法師は理想郷へと赴こうとしている。そこには武士として誰かを守りたいとか強くなりたいとかそういうのは一切なく、ただ単にちっこい体を活かして巨乳の間に挟まりたいだとか下から遠慮なく覗いてみたいとかあわよくばお腹の中に帰ってしまう高度なプレイとかそういうのしかなかった。


 「うへへ、うへへへ……」


 身体も股間の珍針は小さくてもムフフな欲望は誰よりもすごく……大きいです……。

 

 とまぁそんなこんなでえげつない妄想をしているうちに、一寸法師は都にたどり着いてしまいました。ずっとお椀の中で立ちっぱなし勃ちっぱなしの目もあそこもビンビンのまま、お椀から地面へと飛び移った。


 「来たぞ……桃源郷!」


 違いますね。


 「うぉぉお……足が長い! 髪がつやつやだぁ! ああ、生まれてきてよかった……ありがとう神様!」


 恐らく老夫婦の願いを聞き届けた住吉の神々は頭を抱えながらため息を付いているだろう。そんなこともつゆ知らず、エロガキ一寸法師はある一人の娘に狙いを定めた。──走り、駆け、飛び……そして乗る! 胸元の大きな双曲線の膨らみの上にっ!


 「──へ」

 「一寸だけ! お姉さん、一寸だけやらせてもらえませんか?」


 一寸法師の思いは実に純粋だった。挿れたい、貪りたい、舐め回したい。うーんクソみたいな純粋さだ。


 「……ちっさ」

 「違うんです! 脱いだらすごいんです、本番だともっと大きいんですよぉ!」


 一生懸命自分の珍針の大きさ太さ逞しさを語る一寸法師だったが、お姉さんからしてみれば握りつぶせそうなほどちっこいのがいきなり告白とかをすっ飛ばしてやらないかしてきてるため頭がオーバーヒートしているのである。


 「ああん? なんだぁそのちっこいのは」


 そんなカオスな状況。やってきたのは赤褐色の肌のムチムチナイスバディなお姉さん……かと思いきや頭から角を生やしている鬼のお姉さんである。


 「まぁいいや、今日こそはお前を嫁に貰うぞ! 蘭!」

 「いっ、いやです!」

 「なんだとぉ? だったら力ずくで……」

 「やめないか!」


 鬼が蘭ねえちゃんの腕を掴んだタイミングで、一寸法師が胸から鬼の顔面に飛び掛かる!


 「あむ」

 「きゃあっ!?」

 

 しかしそのまま丸呑み。哀れなことに、何も出来ないまま一寸法師は性的にではなく物理的に鬼のお姉さんに食べられてしまったのだ。


 「そ、そんな……」

 「さぁ、鬼ヶ島で祝言……をっ」


 しかし、鬼のお姉さんは異変を感じていた。


 「をっ、おほっ、おおおっ、おおおっ」

 「えっ、なに? どうしたの……えっ、ちょっと!?」


 べちゃべちゃ、ぶちゅぶちゅと音を出しながら漏れ出すそれら……鬼はビクンビクンと痙攣しながら倒れ込んだ。


 「一体、何が……」


 だが、その真相はすぐに現れた。ベットベトのグッチョグチョになった、鬼のお姉さんのパンツの中から! クソまみれの一寸法師は現れたのだ!


 「あー最悪ですよもう……ハジメテがこんなスカトロア◯ルプレイだなんて……」

 「んあぁつ、あっ、あっ……」

 「さて、まだお仕置きは終わっていませんよ?」 


 鬼が腰から下げていた打ち出の小槌の存在と伝説を、一寸法師は知っていた。そして願ってもいた……この瞬間を、何度も何度も何度も!


 ぴかっ。

 きらっ。

 小槌と一寸法師が接触した瞬間、眩い光が溢れ出す。──そしてその奥には、大きく逞しくなった一寸法師と──くそでかい、針と呼ぶにはあまりにも立派すぎる大業物が股間から天を仰ぐように反り返っていた。


 「でっ──か」

 「ひぃっ、ひっ……で、デカすぎんだろ……」

 「待て、鬼よ」


 心なしか、チ◯ポだけではなく態度と体格もクソデカくなった一寸法師は……逃げようと地を這うスカトロにぶちまけられた鬼のお姉さんの桃尻を鷲掴みにした。


 「ひぃっ、お前……何する気だ」

 「何って……このままじゃ、収まりがつかないんだよ」

 「やっ、やめてくれ! お前のソレなんて入るわけがない! 腹が裂けて死んじまう! も、もう来ないからぁ……もうしないからぁ……」

 「……まぁ、安心しろよ」


 ぐいっ、と。

 照準を定めた一寸法師は、にっこり笑顔で言い放つ。


 「一寸だけ、一寸だけだから」

 「お前の一寸は太すぎぃいい良いインぁアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 大惨事。

 やめてくれ、参った。そんな言葉は性欲を開放した一寸法師、いいや最早巨根法師と言わざるを得ないその男の腰振りはまさしく獅子奮迅! 鬼すら泣かせ、屈服させ、終いには戦意も意識も吹き飛ばしてしまった。


 こうして一寸法師もとい巨根法師は、京の都にて『一寸だけ法師』と言う名”鬼を手籠めにした恐ろしい男”として一躍有名になったとかならなかったとか……なんにせよ、一年後に老夫婦のもとに孫と鬼嫁が挨拶をしにいくのは、もう少しだけあとの話である。





「作者からのお願い」

頼むからこんなクソみたいな作品よりこっち読んでくれ↓

https://kakuyomu.jp/works/16818093085789107286/episodes/16818093085789192143

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一寸だけ法師 キリン @nyu_kirin

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