第十章 路上生活者のカフェ
第10話
譲くんとお茶してから、僕はなんだか上の空。あんな子がいるのかぁと思いながらラジオ体操をした。そしたら茜ちゃんに笑われたよ。違うことをやっていたからね。そりゃ、笑われるもんだ。
その後、持ってきたミントをパンっと叩き、香りを愉しんだ後、お茶を作った。
バイトがなくなり、はーちゃんに相談したら、"地域相談センター"に相談したら?と薦められた。地域相談センター?なんだろう。
はーちゃんに紹介してもらい、面談をした。そこは路上生活者がやっているカフェも連携していて、案内してもらった。名前は"ビーイング"だった。僕は、その雰囲気が気に入り、そこで働くことになった。
"ビーイング"の経営者は、栞さん、という人。綺麗だったよ。なんか美しい、というか。栞さんは普通の人で、僕が
「夏休みの間だけなんですが・・・」と丁重に言うと、栞さんも、譲くんと同じく僕を気に入ってしまった。
他の路上生活者さんたちは、そんな僕を見て、気に入らないらしく、
「腕相撲をしよう。」と言いだしてきた。実は、栞さんは、そこの路上生活者さんたちのアイドルだったのだ。
「え、まあ、いいですよ。」と僕が呆れぎみに言うと、
「なんだ!何か文句があるのか!」と怒ってきた。
「いいえ、ないですよ。やりましょう。」と僕が言うと、我先に
「俺がやるんだ!」と怒鳴っている。栞さんがたまりかねて
「やめて!」と言うと、静かになった。
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