第六章 親の愛
第6話
高三の夏。まだ僕に友達ができていないことに、僕が若干、絶望しかかっているのを聞きつけたのか、はーちゃんが、うちの高校に来た。
はーちゃんは、すっかり、クラスメイトと打ち解けていた。先生は放置してくれていた。ありがたかった。
だけど、僕はビックリして、驚いた。だって、はーちゃんが、僕の高校に来てるんだもの!
はーちゃんの声が大きかったので、そのクラスメイトに断り、はーちゃんに
「外に行こう?」と誘った。そして、僕が言った。
「何で来たの?」
はーちゃんは少し微笑んで、こう答えた。
「うちに来ないか?」と。
ビックリした。人の家に遊びに行ったことないもの!僕が驚いて、目をまんまるくしてると、
「少しの間だけでいいんだ。」と答えられた。
それから、少し経ったある日。夏休みだ。もう宿題は済ませてから準備することにした。タオル、着替え用の服、携帯、携帯の充電器。
母には心配された。心配されながらも、
「これ、持っていきなさい。」と小倉煎餅を持たされた。あの紅葉の日、三人いたから、僕と、はーちゃん入れて五人分。こんなのいいのになぁ、と思いながらも母の愛を感じた。父にも
「元気でやっていけ。」と言われた。初めてだ。親に心配されるなんて。なんて幸せなんだ。こんな幸せなことってあるか。涙が出た。もしかしたら、初めから幸せだったかもしれない。桃子も泣いていた。
「お兄ちゃん、よかったね。」と桃子には言われた。桃子とは抱き合った。桃子も嬉しそうだった。
「桃子、ありがとな。あと、家をよろしく」と、桃子と拳と拳を合わせ、家を後にした。
桃子は
「はーちゃんに、よろしくねー!」と言っていた。
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