第三章 羽鳥さんとの出会い

第3話

桃子は、じいちゃんの「はとこ」だから、話してみたい!と思ったらしい。帰る羽鳥さんの後を追っかけた。さつきは慌ててついていった。「桃子」と声をかけたら、桃子は「だっておじいちゃんの小さい頃とか知りたいだもん」と言っていた。そういえば、さつきも知らなかった。

そして、桃子は羽鳥さんに声をかけた。「羽鳥さん!」

羽鳥さんは驚いた様子だった。でも、桃子の背の位置にしゃがみこみ、「なぁに」と優しく言った。

さつきは、そんな羽鳥さんを見て、ああ、この人は優しい人だな、と思った。そして、

桃子が「羽鳥さん、おじいちゃんの、はとこなの?じゃあ、おじいちゃんの小さい頃とかも知ってる?」と聞いた。桃子は、さつきとじいちゃんとの交流を知らないから、こう言ったのだ。

羽鳥さんは笑顔で「できるよ、でもちょっとお茶目だったかな。としちゃんは何でも出来て、でも女の子と話す時は照れてたかな。可愛かった」と言った。

「そうなんだ」と桃子がおめめパッチリの顔になった。さつきが「桃子、よかったな」と言った。

その時、初めて羽鳥さんがさつきを見た。

「こんにちは」初めて話した。ビックリした。桃子は、すっかり羽鳥さんと仲良くなり、自己紹介までしていた。子どもは仲良くなるのが早いなぁ。さつきは気後れして「さつきです」と言うのがやっとだった。

「さつきさん」と言われ、さつきは「はい」と答え、少し間が空いた後に、羽鳥さんが

「僕は、はーちゃんでいいよ」と言った。

これが、はーちゃんとの出会いだった。新鮮だった。名前のことでいじられないなんて!幸せだった。

その時、小雨が降ってきた。傘がなくてもいけるようだったが、大雨になったらいけないと思い、さつきは「僕、傘を持ってきます」と言ったが、「いいよ、いいよ、これぐらいの雨だから」と断られた。

桃子が「ねぇ!次はいつ会える!?」と図々しくも言った。さつきは、そんな桃子を「こらっ」と窘めたが、

「えー、いいやんかー」と三回もねだられて、さつきはついに折れた。そして、はーちゃんに"バイバイ"をして、さつきと桃子は帰っていった。そしたら、様子を見ていたらしい父と母が待っていた。

母は「ちゃんとお話できた?」と言ってきたので、ホッとした。父は相変わらずブスッとした顔だったが、「よかったな」という言葉で救われた。

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