第2章

第3話

カフェに行くと、テラス席に通された。激昂する俺に、「ああ、ギターがありますからねっ」と薬剤師さんが言っていた。薬剤師さんは笑顔だった。


いつも、そうだったんだろうか……。俺は気分を取り直し、自己紹介した。「自己紹介してなかったですね。俺は中田と言います」すると薬剤師さんは驚いて「えっ、私、田中です。ハンコ逆にすると同じですね」と笑顔で言い、また真っ赤になり、俯いてしまった。ハンコ逆……?「ああ、なるほどっ!」と俺は言い、田中さんの顔が俯いていることに気づき、「どうしたんですか?」と聞いた。田中さんは「なっ、なんでもないんですっ!」と背を向けてしまった。緊張してるのかな?俺は思わず変顔をしてしまった。田中さんは始めビックリした感じだったが、いきなり笑い始めた。田中さんはツボに入った感じで、ずーっと笑ってくれた。俺は、それが心地よかった。


でも…心なしか、体の線が細い……。ちゃんと食べてるんだろうか?心配だ。思わず店員さんを呼び、サンドイッチを追加した。田中さんは「え、なんでそんなことするんですか!?」と俺の手を掴んだ。「あ…」と2人とも真っ赤になった。田中さんは「あ……あの、中田さんとお会いしてからケーキも絶って甘いものも我慢したんです。だから、それで……」と真っ赤になった。そうか……そうなんだ。嬉しい。でも……。「サンドイッチぐらいは食べよう?」と諭した。こくんと田中さんはうなづいた。食べてる間、手は繋いだままだった

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