第100話
次の日、「愛してる。もう大丈夫だよ。自信持って行っておいで」と言われた咲良は俊介よりも先に家を出た。
昨日迷惑をかけた人全員に謝って、頬を叩いて仕事を始めた。
これからは絶対に同じミスはしない。家に帰れば彼がいる。だから絶対にやりきって帰るんだ。浮かれはもう仕事には持ち込まない。
私がやるべきことはそれじゃないし、俊介だって私のことを考えて頑張ってくれてるんだ。言い訳にしてたまるか。
彼の隣に並ぶにふさわしい女でいるんだ。
久しぶりに負けん気が顔を出す。
その日一日、咲良は完璧に仕事をこなした。
「昨日はすみませんでした」帰り際のその言葉に、もういいよ、全員が今日はよく挽回した、と許してくれた。
昨日の分を取り返せたと思って少し安心して家に帰る。今日はまだ家に明かりはついていなかった。
カーテンを閉めて明かりをつけて、腕をまくって料理を始める。
昨日目一杯甘やかしてくれたお返しがしたい。そう思って彼の好物ばかり作った。
「これから帰るね」そのメッセージを見て、ご飯を作りきっておく。お風呂も焚いた、ご飯も作れた。今日これだけ頑張れたのは全部全部俊介のおかげだ。
そう思って帰って来た俊介に抱きついた。
「俊介、お帰りなさい! 私俊介のおかげで今日一日頑張れたの。本当に俊介大好き、愛してる。……でね、いっぱい俊介が好きなご飯作ったから食べて欲しい。今日は私が甘やかしたい」
「頑張ったね、さすが咲良。大丈夫で良かった。ご飯嬉しいな、甘やかしてもらえるのも」そう言いながら俊介が咲良を抱き上げてリビングに向かう。
「ほんとに好きな物ばっかり。嬉しい」笑った彼はその日一日咲良の気が済むまで甘やかされてくれた。
抱きついて眠る時、彼は嬉しそうに「咲良が頑張れたことが俺も嬉しいよ」と言ってくれた。
咲良が寝た跡、俊介もその寝顔を見て、少し咳をして眠りについた。
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