好き、大好き、
第61話
それからもしばらくの間咲良と俊介はたまに駅で待ち合わせてデートしていた。
最初のデート以降は二人で写真を撮るのが恒例になっており、二人の写真はどんどん増えていった。
二人とも、話す間に、一緒にいる間に、もっともっと好きになっていった。「じゃあね」と玄関で言うその声にさみしさを感じながらも、送られてくるメッセージを、次に会える日を楽しみに過ごしていた。
そして居酒屋のバイトも問題なく進み、あの客は姿を見せなくなっていた。それに咲良も俊介も安心していた。
六月も梅雨本番になった頃、咲良はいつも通りに部活から帰ってきてバイトの準備をするために家に帰ってきた。
いつもと同じように大抵チラシしか入っていない郵便受けをチェックする。
郵便受けを空けた途端にバサッと大量の二つ折りにされた紙が溢れて落ちてきた。
なんだこれ。とりあえず部屋入ってから確認するか。そう思ってその紙を全て拾って、大量の紙を抱えてエレベーターに乗った。
紙を落とさないように四苦八苦しながら玄関の鍵を開ける。とりあえずリビングに入って、いつも通りのチラシを全て捨ててから二つ折りにされた紙を開いた。
「きゃっ……」
それを目にした瞬間に小さく叫び声を上げて体の震えが止まらなくなった。
開いた紙に書いてあったのは手書きで紙にぎっしり書き込まれた手紙だった。
三丸八号室の高橋さんへ
好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです好きです……
何これ。目眩がするような量の「好きです」という言葉。それに部屋番号と名字が一致してる。封筒に入ってもいない、切手もない。それってこれを書いた人がアパートの前まで来たって、ことだ。こんなの狂気でしかない。
他の手紙もまさか。見たくない気持ちで、他の手紙も開けた。
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