第42話
放心状態からしばらくして解放されて、三葉に電話をかけた。ニコールもしない間に三葉は電話に出た。そして咲良よりも先に怒濤のように話し始めた。
「もしもし咲良聞いて賢人君とお付き合いすることになったの、二人で話してみたら段々打ち解けてきて賢人君すっごくノリの合う人で。
二人でスポーツの話でも盛り上がって、でも無言になっちゃっても辛くなくて。時間もいつの間にか過ぎてくような感じなの。
でね、最初からかっこいい人だなあとは思ってたんだけど、素敵な人だって思い始めたらどんどんかっこよく見えてきて。
もうそしたら止まらなくなってどんどん好きになってって、帰り際にあっちから『すごく楽しかった、良かったら付き合って欲しい』って言ってもらって私も好きって言ったの。
彼氏、できちゃった……どうしよう、医学部とかもうどうでもいい、賢人君がかっこよくて好き」
「それは何より。良かったね『大学入ってから彼氏作るんで良いかな』とか言ってたのが本当になって。
古川さんも結構なんて言うか天然で素敵なところある人だったもんね。私達二人とも三葉達を二人きりにさせて大丈夫かちょっと心配してたから嬉しい」
「あ、ごめん咲良からかかってきた電話だったのに先に話して。ちょうど帰ってきて今日の振り返りしてテンション上がってるところだったから嬉しくてつい」
「いいよそんなの。どうせ聞こうとは思ってたし。思ってたよりも展開速くてちょっとびっくりしたけど、本当に良かったね」
「良かった。本当にもう賢人君が彼氏なのかと思うとなんか嬉しすぎてたまらない。やばい、あんな努力家でかっこよくて頭も良くてスポーツもできる人が私の彼氏……?」
「そうだよ三葉、喜べ喜べ!」
電話口の三葉の声はいつもよりも少し高くて、どんな顔をしているのか想像がつくくらいに浮かれている。
友達に素敵な彼氏ができた。これ以上ないいい話。
でも私にもいい話はあるんだ。こんなの私らしくないけど、でもこのかっこいいと思った気持ちを三葉に聞いて欲しい。
「三葉の話聞き終わったら私の話もしてもいい?」
「もちろん、ていうかもう聞きたい。あの後どうなったの? 私達よりも先にカフェ出たみたいだったけど席的に何も見えなくて」
「正式にもう一度告白してもらって、付き合うことになったの。内面も好きになったからって。
私も、今日話してる間にどんどんかっこよく見えてきててすごいなんか放心状態って言うか。しかもね、聞いて本当にかっこいいから。
俊介君、彼女になったからこれができるって言って上着家に着くまで貸してくれて、それまで良い香りでもう、もう本当にかっこよくて」
「それはもう完璧彼氏過ぎる、かっこいい」
その夜は二人で会ったばかりのはずの彼氏について散々惚気倒して夜が明けた。
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