第39話
「おい、あんまり余計なこと言うなよ賢人。しかも二人で盛り上がっちゃって。俺と三葉さんも入れろよ」
そこに三葉の名前もさらっと入れるのがこの人のいいとこだな、これが天然の産物だと思うと恐ろしい。
「じゃあ今度は古川さんのお話俊介君から聞こうかな。三葉生き返った?」
「大丈夫……俊介さんの話もう頭から抜けてる気がしなくもないけど賢人君のお話はちゃんと聞きたい……」
その言葉で古川さんが顔を赤くしたことには……三葉気付いてないか。今度は俊介君と目を合わせて二人で少し笑った。
「賢人は結構ノリ良くって、誰とでもすぐ仲良くなれちゃうタイプかな。ただ女の子ってなると毎回こんな感じでいつも他のやつにかっさらわれてて。
男としてはこんな良いやつほっとくなんて勿体ないなって感じですね。俺の知る限り誰かと付き合ってたことはないし、それごまかせるほど器用なやつでもないです。
素直すぎるくらい顔に出るから三葉さんも付き合いやすいと思いますよ。三葉さん、ほらちょっと勇気出して賢人の方向いて。……ほら顔赤く……って二人とも固まった。
二人とも似てるんだね、咲良ちゃんから見てどうです?」
「いやなんか女の子慣れしてないって言うほど口下手じゃないからなんで紹介してもらえる感じなのかって思ってました。
でもこうやって三葉と一緒に固まってるの見たら納得。私も二人似てると思います」
「だよね、お似合いな感じ。……あ、二人とも帰ってきたね。
じゃあ続き話すと、賢人はあんまり成績良い方じゃなかったんですけど家が皆医者ばっかりで医学部入れっていう圧がすごかったらしくて。
受験生の時はもう人が変わったように勉強してここ来た感じです。だから努力家だし、スポーツとかってなるともっとわかりやすく頑張ってる感じ。
多分試合とか見に行ったらすごい喜んで頑張れちゃうような単純でかわいいやつです」
「俊介もなんか余計なこと言ってんなそれ。外出るか?」
「それ俺に言う? 別に俺はいいけど今日は俺にもかっこいいとこ見せたい子がいるんだけど」
「……止めた、俺の負け。俺も三葉ちゃんの前でコテンパンにされたくない」
「え、今のはどういう、」三葉と二人で少し困惑していると古川さんが言った。
「さっき言い忘れたけど俊介小学校から習わされて空手の段持ちなんですよ。戦いたくない、ていうかわざわざ伸されたくない。インドア派のくせして強いってなんだよ、チートかお前」
「あ、すごい。そうなんだ。しかもインドア派か」
これは結構付き合いには大事かも。趣味合うかどうかとか、押しつけてこないかとか。
「私アウトドア派なんですけどそう言うのって」「あ、全然大丈夫。人と行くのは嫌いじゃないし、一人でいるのと違う新しい体験もできるし」俊介君は何でもないという風に言った。
押しつけてくるどころか付いてきてくれるレベルか、私が舐めてたな。この人もう完成してたわ。惚れたな、完全に。
じゃあ”肉食女子の何が悪い”ってやつか。こっちからも紹介の時間だ。
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