第36話
走ってきた彼の第一印象は「イケメンの友達までイケメンか」だった。類は友を呼ぶってか。彼ほどではないが整った顔に優しそうな笑顔。洋服もスポーティーで三葉の隣に立てばよく似合いそう。
「三葉、多分だけどあの人普段の三葉でいける。ていうかその方が隣に並んでて映える気がする」と小声で余計なことまでつい言ってしまった。
「すいません教授が講義延ばしに延ばしてきて遅れました。待たせて申し訳ないですほんと。古川賢人です。……三葉さん、だよね。それに咲良さん。よろしくお願いします」
とりあえず二人とも古川さんと連絡先を交換しておく。
「先に紹介されちゃったけど今言った通りこいつが三葉さんに紹介したかった古川です。高校からの同期でそのまま大学まで一緒の腐れ縁みたいな友達。
女っ気はないけど男友達として一緒にいるとすごい良いやつ。部活もアメフト部で結構ちゃんとスポーツやってたタイプだから三葉さんに似合いそうだと思って」
「おい高橋あんまり期待値上げるなよ、俺お前みたいに女子とフランクに話せるようなタイプじゃないんだから」
「大丈夫だって本気で良いやつだと思ってるんだから。まあ三葉さんと合うかは分からないけどさ、それでも良い彼女作って欲しいと思うくらいには仲いいつもりなんだけど」
「うっわ一目惚れで大学入学早々彼女作ったやつがなんか言ってる」
なんかこの二人、私と三葉みたい。疑ってたわけでもないけど仲いいのは少なくとも本当だな。二人のやりとりを聞いていて思った。これならこの古川さんにお話聞いても大丈夫そう。
「それはとりあえず置いといてさ、こっちが俺が告白した高橋咲良ちゃんでこっちが飯塚三葉さん。二人とも陸上部。それくらいしか俺からは紹介できないし立ち話もなんだから中入ろ」
それぞれで好きな飲み物を注文した。咲良と三葉が注文していた間に男子二人はボックスのソファー席を取ってくれていて、交代で二人が注文に回った。
三葉は古川さんの荷物の前に、咲良は俊介君の席の前に座った。その瞬間に隣から緊張したらしい三葉が腕にすり寄ってくる。
「咲良どうしよう、あの人思ってたよりかっこいいしスポーツまでやってるなんてもう私既にあの人がいい」
「落ち着いて、でも二人のやりとり見てる分にはすごいいい人そうだよね。これならなんか話聞くのも三葉預けるのも安心かもしれない」
「だよね、二人ともなんかすごい心預けてるって言うか……預けるって私の事なんだと思ってる? 赤ちゃん?」
「いや大事な友達としてに決まってんでしょ、ほら二人来るよ」
そう言うと三葉が背筋をピンと伸ばしたので笑ってしまった。「どうしたの、楽しそうだね」と言いながら俊介君が目の前に座った。遅れて古川さんも三葉の目の前に座った。
「医学部生との一対一の合コン」、スタート。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます