第34話
しばらくしてまた返信が来た。
「返事ありがとう。じゃあこっちも俊介って呼んでください。浪人してないので多分同い年。呼び方なんだけど、さすがに呼び捨ては女の子に早い気もするから咲良ちゃん、でいいですか?」
うわ、こいつ、距離詰めてくるのまで絶妙に巧い。"女の子だから”とかいうことまでさらっと言ってくる。
天は二物を与えずとか言い出したやつ誰だ、この人もう三物くらい持ってる。顔と頭とそのコミュニケーション力。
これ以上良いところ見たらもっとその言葉が信じられなくなるな。
「その呼び方で大丈夫です。同い年だね。私も俊介君でいいですか?」同じように少しタメ口を挟みながら返した。
既読つけるのも早すぎない、返信も多分だけどちょうど私の波長に合わせてきてる。すぐに返信してこない分私の負担も少ない。
こんなことしてくる人、余計に気になっちゃうじゃんか。
三葉にメッセージを送る。「高橋さん、連絡の取り方も話し方も巧い。好感持っちゃったから付き合うことにした」
そのメッセージには秒で既読が付いて返信もすぐに来た。
「やっぱりあの人めちゃくちゃいいよね、私も連絡したけど仲いい彼女欲しそうな友達紹介してくれるって言ってた。咲良付いてきて、四人で会う方が緊張しない」
もうそっちはそんな話までしてるのか。にしてもあれだけ男狙う気満々だったのに私にも同席して欲しいなんてあの子やっぱり恋愛に関してはちょっと乙女だな、かわいい。
「いいよもちろん。私も俊介君と会う予定立てた方がいいだろうし」
「もうそんな呼び方にまでなったの?!」
あ、言い間違えた。まあいっか、そのうちばれることだし後出しするとまた三葉が騒ぐ。今のうちに騒がせといた方が楽かな。
バイトの時間があったとは言え三葉とここまで話が進んでるって事はやっぱり私に返信のペース合わせてくれてる。夕食時に連絡が来てなかったのも多分気を使ってもらってる。
そんなとこまでできたやつか。私に扱いきれるか分からないレベルだ。これはあれか、スパダリってやつか。
……ちょっと待て。ここで一気に気を許して話しすぎて粘着質だった日には家まで来られるかもしれない。そうなったらもうどうにもならなくなる。
引っ越すだけのお金なんてないから逆にちょっと警戒した方が良い。さすがに今日の今日で安心するのは早い、しばらく様子見。
友達含めて会うって事ならその友達に聞くのが一番かな、同性の友達に聞くのが一番どんな人かわかりやすいとか言うし。
……私にしてはちょっと打算的すぎるか? まさかだけどこれが”惚れた弱み”ってやつか。もうそれだけ気にかけてることには違いない。
私この人に、会ったばっかりのこの人にもう顔だけじゃなくて内面まで惹かれてきてる。
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