第32話

とりあえずその日はそのままその高橋さんと分かれて三葉と帰ることになった。


「名字同じであの告白ってもう運命じゃん」


「運命ねえ。三葉の頭の中って以外とお花畑だね」


「高原地帯じゃないんだからそんなわけあるか」


「やめてよその高学歴ギャグ誰にも伝わんないから」


「受験期を忘れないという固い意志があんのよ。さっきの高橋さんと付き合うんでしょ? で医学部って言ってたでしょ? 将来安泰じゃん。もう『結婚しても名字変わらないね』とか言ってそのまま結婚すんでしょ? 

なに咲良歩いてるだけでイケメン捕まえてんだよもう。私に告白するやつはあの集団の中に一人もいなかったってのに」


「気が早い、あの返事じゃ付き合うかどうかすらわかんないじゃん。……にしてもイケメンにもB専っているんだねえ、そんなの希少生物かと思ってたわ」


「何言ってんの咲良あんた顔良いでしょうが。嫌味か? 受けて立つけど?」


「そんなことこそ人生で親以外から初めて聞いたけど。この顔のどこがいいっての」


「私の口からそれ言われて嬉しいの? 本当に全部言われて後悔しない? 覚悟はいいか?」


「いやいいわ。私がおかしかった、悪かったから言わなくていい。……ていうかさっき高橋さんとちゃっかり連絡先交換してたでしょ。そこからあんたも彼氏見つける気でしょ」


「ばれたか、学祭までにとりあえず医学部男子を紹介してもらう、それでスポーツしてる人だったら尚良い。顔とか私は気にしないからもう狙いに行く。肉食女子のどこが悪い」


「どこも悪くないけどその私が顔気にして選んでるみたいな言い方止めてもらっていい? これでも前の彼氏は誰に見せても苦笑いで『……いい人そうだね』としか言われなかったからね。

顔で選んでないんだわ。……今回は顔があまりにもタイプだったけど」


「いや本当にあれはイケメンだった。医学部のイケメンなんてこの世に存在するんかって思ったわ。それに国公立理系の男子に女子に話しかけられる人がいるとも思わなかった」


「全方向に失礼すぎるなさっきから。大体三葉どこまでついてくる気よ。もう三葉の家から遠ざかってるけどうちに三葉泊めるスペースとかないからね?」


「あっやっば、ちょっと待ってバイト先こっちだったからなんとなくでついて来ちゃった帰るわ。じゃあ高橋さんとの進展今日の夜のうちに送ってよね」


「はいはい」


三葉と気は合うけどあまりにノってるなあ、私よりも積極的だったし。まあ良い友達できたってことか。そう思っているうちにすぐ家に着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る