出逢い

第31話

大学の入学式よりも前にSNSで咲良には理学部以外にも同級生の友人が山のようにできた。入学式の時にはもう十人以上の大所帯で移動して写真を撮っていた。


実際に会ってみると話も弾み、特に陸上部に入ろうとしていた理学部の三葉とは仲良くなって毎日のように大学内のカフェで三葉を含めて話し込んでいた。


三葉とは家への方向まで同じだったので、友達との長いおしゃべりが終わった後二人で歩きながら帰るのはもう定番になっていた。


「そいえばさ、三葉は彼氏とかいないわけ?」


「あー、高校時代に『彼氏は大学行ってからで良いかな』とか言って逃げてきたから耳が痛い、彼氏切実に欲しい。私ら理学部だから医学部生狙ったら将来安泰かな」


「いや打算的すぎるでしょさすがに。三葉はなんか大型犬みたいなさ、私立校の文系男子みたいな感じの人が似合いそう」


「それ高校でも言われたことあるわ、咲良隣の駅の私立大の学祭の時は男あさり手伝って」


「あまりにも潔すぎてそういうとこ好きだわ」


「そっちこそどうなの、私と同じタイプ? 陸上女子スポーティーすぎてうちの高校では全然人気なかったんだけど」


「残念ながら高校の時に彼氏はいましたねー、別れちゃったけど」


「何が違ってこうなったんだよもう……ずるいなあ」


「いやだから今はいないっての」


そんな話をしながら歩いてきた男子の塊をよけて歩いた。


「何が良かったら彼氏ってできるの」


「分からないよそんなの、恋愛マスターでもあるまいし。タイミングとかそういうやつじゃない?」


「うわ思いっきりどうしようもないやつじゃ」その話を三葉がいきなり止めたので見ると前に一人の男子が立っていた。確かさっきの団体の中にいた人。緊張してる? 


何、なんかした? と三葉と顔を見合わせた。緊張した様子のその人は、咲良に向かって言った。



「一目惚れって、信じますか」



……は? 一目惚れ? 今のこの時代にそんな告白してくるやつがこの世にいたのか。そんなことを考えている間に三葉も後ろの男子の塊も一緒になって騒いでいた。



改めて見上げて顔を見てみると、……うわ、顔良。なんだこのイケメン。完璧に整ってるとまでは言わないけどなんて言うかドタイプな顔してる。


背も高、なんでこんな人に告白された? あれか、B専ってやつか? そう思いながら口では答えを出していた。


「……信じ、ます」


名前を聞いた彼は高橋俊介と言った。「あ、名字同じですね」と言いながら連絡先をとりあえず交換する。


後ろではもう三葉が団体とハイタッチしながら騒いでいる。何してんだ三葉。

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