第7話
一週間が経った頃、二人は無事に元気になって家に帰ってきた。二人とももう咳の一つもしていなかった。
「いやーやっぱり家が一番だね、病院のベッド固くて仕方ないしご飯も味気ないし」という父親に少し安心した。もう大丈夫だ、二人とも帰ってきてくれた。いつも通りの二人が帰ってきてくれた。命に別状はないって聞いてたけど本当にそうだったんだ、あの日疑っちゃったけど大丈夫でよかった。
「そんなことより咲良、心配かけてごめんね。荷物だって持ってきてもらって。学校も夜ご飯とかも大丈夫だった?」
「大丈夫だよ、お昼は適当に買って食べてたし夜ご飯も作ってみたり買って帰ってきてみたり。大学入った後の準備と思えばちょうど良いくらい。ただその分のお小遣いはいるからレシート計算して食費出してください」
「咲良全く抜け目もないなあ、これなら本当に安心だった。二人でこれでも心配してたんだぞ。でも良かった、咲良が無事に過ごせてたなら何よりだ。大学に入るときには自炊もできそうで何よりだよ。そういえば久しぶりにあれ聞きたいんだけど? 咲良、忘れてないだろうねこの一週間で」
「はいはい、二人がいない間もちゃんと二人のこと考えてたし愛してますよ。ちゃんと大好きだから安心してください2人とも」
「やっとその言葉が聞けた。入院中に一番物足りなかったのはその言葉がなかったからだな、今完全に安心したよ。咲良のためにもこれからもっと健康を意識して長生きしなきゃな」
「そうして欲しいよ本当に。これでも二人が入院した日心配で二人の病室前で二人は大丈夫なんですかってお医者さん呼び止めたんだからね私」
「ごめんね咲良、私達のせいで心配かけて。大丈夫ですねって言われて帰ってきたからもう心配要らないよ」
「あ、いいのいいの、今のは勝手にこっちが心配したってだけで心配かけられて迷惑だったとかそういう話じゃないからいいの」
「そう言ってもらえるとありがたいんだけど……無理しないで今日からは私達にいくらでも頼ってね」
「あったり前じゃん、ご飯作るのももう飽きたよ。お母さんの味がもう既に恋しいから私の好きなメニューフルコースでお願いします」
「はいはい、いくらでも作るから待っててね、気合い入れるか」
「無理だけは止めてよ、こっちの心臓に悪いからね」
「分かってるよ、大丈夫だから。もう先生にも大丈夫ですねって言われたし」
「ならいい、ご飯待ってるー」
その日は大好きだったメニューのフルコースを家族三人で堪能した。
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