第71話
途中で休憩を入れながら、皆二時間目が終わる前に色を塗り終わった。皆で図工室の日の当たるところに絵を並べて道具を洗う。
恵ちゃんはいつの間にか顔まで色とりどりになっていて、美咲ちゃんに「どうやったらそうなるの?」と聞かれながら顔を洗っていた。
少し乾いてくるまでの間で、プリントにどこを工夫して描いたのかを書き込んでもらう。絵が乾きかけているところで一人ずつ発表することになった。
絵を両手で持って、前に立って絵の説明をする。
恵ちゃんから順番に発表する。「この絵は、ウサギの形の雲を見つけたのでそれが描きたくて描きました。虹も、一色ずつ色を変えて塗って、空もピンクを使って、夕焼けの時を思い出しながら綺麗に塗りました」
拍手が起きて「かわいい!」と皆から声がかかる。
次は楓ちゃんの番だったので、楓ちゃんに「絵を持って前に立てるかな?」と聞くと少し不安そうに頷いた。プリントを隣で読み上げる。
「この絵は、妹に見せたくて描きました。川の中の石を描いたり、川に映る虹も描いたのがポイントです」
絵はその通り水面に反射した虹まで細かく描かれていて、橋を描かなかったことで自然の風景が綺麗に描かれた絵になっていた。
皆が拍手して、「すごいね、水の中まで描いてある! それでさっき髪の毛濡れてたんだね」と聡君が褒めてくれた。
次は聡君の番。「俺の絵のポイントは、皆とは逆から橋を描いたところです。虹は見えなかったけど、代わりにこっちに向かってくる車があったのでそれを描きました。車がかっこよく描けたので良かったと思います」
また拍手が上がる。「車かっこいいね」と恵ちゃんから言われて聡君が嬉しそうにする。
花菜ちゃんが絵を持ってきて説明する。
「この絵は、花を綺麗に描きたくてよく観察して描きました。いろんな色の花があったので、カラフルになるように色を混ぜて似た色を作りました。
ここのこのお花はタンポポで、こっちはコスモスです」と一つ一つ花の説明もしてくれた。
また拍手が上がって、「花菜ちゃんやっぱり花に詳しいね、すごい」と皆から声が上がる。
最後は美咲ちゃん。「この絵のポイントは、橋を見たとおりに綺麗に描いたところです。影をつけて、立体的に見えるように工夫しました。橋が綺麗に描けたと思います」
それでまた拍手が上がる。皆で皆の絵を見比べながら乾かして、道具を綺麗に拭いて教室に持って帰った。
そのまま帰りの会まで絵を乾かして、乾いたのを確認してから皆で持って帰った。
次の週に、楓ちゃんから「いもうとがみてくれたの きれいだねっていってくれた」と書いて見せてくれたのがまた嬉しかった。
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